懐かしき原点「スイッチ・オン・クラシック」
最近またラジオ復権だそうだけど、かつてエアチェック全盛のころ、私もラジオを録音することがあった。もちろん、当時のこととてカセットテープに。
とくに気に入っていたのは、1983年から85年にかけてのFM番組、野田秀樹さんの「セイコー・スイッチ・オン・クラシック」。
私の年代だったら、聴いてた人も多いんじゃないかな?
「お相手はお耳の恋人、野田秀樹です」で始まる番組は、20代後半の野田さんの軽妙なDJで、言葉遊びあり、ときには同時期の舞台のセリフを読んでくれることもあって、遊眠社ファンには聞き逃せなかったし、もちろん野田さんを全く知らない人もクラシックの初心者も楽しめるクラシック番組だった。
服部セイコーがスポンサーのCMもまた、時間をテーマに音だけでこれだけ表現できるんだね~、というアートな出来。「1秒に喜び、1秒に泣く。一生懸命、1秒。セイコー」・・とかね。
たしか、毎週月曜(だったか火曜だったか)の夜9時からの1時間番組だったのだが、院生だった私は塾講師のアルバイトが入っていて、ナマでは聴けなかった。
で、有り金はたいて(?)この番組のためにタイマー付きのPコンポ(タカハシユキヒロがCMしてたビクター製)を買って、録音していた。繰り返し聴いていたそのテープの何本かが残っている。
もし月曜日にバイトが入ってなくてナマで聴けていたら、テープが残ることもなかったかも、、と思うと、ありがたや~。
自室にカセットデッキもなくなり、もう十年以上も全く聴いていなかったテープを、数日前から思い立ってデジタル化し始めた。
サウンドブラスターはずいぶん以前に買ってあったのだが、おっくうで始めるキッカケがなかったのだ。(いまは新製品も出て、きっともっと簡単にmp3にできるのだろう)。
新潮カセット文庫や、ほおってあった語学教材テープなども、そのうちデジタル化したい。
そしたら、通勤の途中でもiPodで聴けるし、教室でも使い勝手がよいだろう。
さて、「スイッチ・オン・クラシック」。たぶん放送は100回だったようだが、手元に残っているのは30回分ほど。
以下、ご参考までにタイトルを並べてみる。
(#は、ケースが無くて正確なタイトルが不明。
※は中身がなくてケースのみ。聴きすぎてテープが伸びたり切れたりしたものだ。
ケースの記載そのままを写したので、日付は不正確なものもある。
副題は中身がわかるように私に書き添えた)。
- ロックにバがつきゃバロックだ 1983.8.22
- 夜だらけの国から-シベリウス 1983.12.6
- G線上の宮仕え-バッハ 1984.1.17
- 出前迅速お好みクラッシック・フランス料理篇 1984.1.31
- 今宵ほれっぽい人のために-アルルの女 1984.2.21
- 天が二物を与えた美女たちⅠ 1984.2.28
- みかんの花が咲いている 1984.6.12
- 今宵つつましき人のために-チェンバロ集 1984.6.19
- リヒャルトストラウスはこう語った 1984.7.10
- 火の鳥・不死鳥伝説 1984.9.12
- 疲れない憑かれた話-月光 1984.9.18
- 出前迅速お好みクラッシック・ウィーン料理篇 1984.9.25
- 1DKの音楽-室内楽 1984.10.2
- 昔、バイキングの国-ノルウエー 1984.10.30
- オペラがショウアップするとき 1984.11.20
- 外套と青空-フルトベングラー 1984.11.27
- 四季なしでビバルディ 1984.12.11
- 今宵、風のおくりもの-オルガン 1984.12.25
- ぼくのおしょうがつ-皇帝 1985.1.1
- サティ ピアノ曲集 1985.2.5
- チェロの似合う人 1985.2.19
- #美しき十代
- #そっと目立つ人-ベートーベン交響曲4番
- #ピアノでも田園
- #展覧会の絵
- ※つわものどもがセレナード 1983.8.30
- ※悲恋教えます-ロミオとジュリエット 1983.9.6
- ※今昔冒険物語-ペール・ギュント 1983.11.29
- ※悪魔と添い寝した男たち-タルティーニ・パガニーニ・リスト 1983
- ※ヨハン子だくさんバッハ 1985.3.19
- ※ここで会ったが百回目 1985.3.26
ひゃあ。四半世紀も前なのね。並べるだけで、懐かしい!
タイトルのセンスや言葉遊びも野田秀樹印。
ビンボーだったので、カセットは上書き録音しながら使い回していた。だから、初期の、つまり83年のはあまり残っていない。残っているのは、お気に入りで消さなかったものばかり。
「ロックにバがつきゃバロックだ」はそうした一つ。秘蔵品ですな。
「つわものどもがセレナード」や「古今冒険物語-ペール・ギュント」もお気に入りだったのだが、聴きすぎてテープが切れてしまった。伸びたテープを無理して聴いてて、切れた瞬間の愕然・無念・後悔の念はいまだ記憶に残っている(気がする)。
いま何本かは作業しながらモニターしているが、怖れていたほどには劣化していなくて、音質もまあまあ。もちろん、CDのようにクリアじゃないし、雑音もある。モノラルでしか再生できないものもあったり。でも、そういう時代だったし、聴けるだけ嬉しい。
番組のテーマ曲は、野田さんによると(いいですか~、一度しか言いませんから、メモする人はメモしてください。ちょっとメモを準備する時間、待ちます)、ティールマン・スザートの「むかし小娘が」。
(コレギウム・アウレウム合奏団「楽しいルネサンスの舞曲集」)。
野田さんの声が全然変わっていないなあ。
「小指の思い出」の幕切れのセリフの朗読が入ったり、高校時代に蜷川幸雄演出の「近松心中物語」を見た話から、ひらみき(平幹二朗)の声音をつかったり、聴いててワクワクしちゃう。
これからしばらく、通勤時や自宅での仕事の折に楽しめそうだ。(野田秀樹論のヒントが出てきたり!?・・は、ないか)。
もちろん野田さんも遊眠社時代から進化/変化し続けているし、私だって今を生きなきゃ。ノスタルジーにひたってばかりはいられない。
でも、「臥薪嘗胆」(^^;;)期間のいま、たまにはワルキューレ3部作や「野獣降臨」(のけものきたりて)や「走れメルス」の元気な時代-原点に戻るのも悪くはない。
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はじめまして。
セイコー スイッチ オン クラシックで検索して辿りつきました。
実は私も時々聞いていました。
好きなプログラムはカセットに残し、のちにCDにしました。
でも1枚しかありません。
野田さんの軽快なおしゃべりと、
知らないクラシック音楽の曲を初めて知った時の喜びとで、
楽しんでいました。
私の持っているプログラムは、先生のリストにはないようです。
私もいつしか昔を懐かしむようになってしまいました。
では。
投稿: 植松 健 | 2013/09/14 18:38
植松さま、コメントありがとうございます!
(どうぞ、「先生」はご容赦くださいませ)。。
「スイッチ・オン・クラシック」リスナーのお仲間が訪問くださって、嬉しいです。思い出しても懐かしい、本当によい番組でしたよね。
植松さんもデジタル化されたのですね。ちなみに、どのような回だったのでしょうか?
投稿: NAGI | 2013/09/14 20:35
長らくご無沙汰しておりました。
スイッチ オン クラシックのCD化したものは、
モーツアルトクラリネット五重奏曲、パッヘルベルの泉、
などの曲が放送された時のものです。
この曲はそれ以来私のお気に入りになりました。
クラシックを楽しませてくれるDJが今は少ないと思います。
また楽しく聞く番組が始まることを希望しています。
ところで、
最近の更新が無いようですね。
再開されるご予定はないのですか?
投稿: 植松 健 | 2014/12/06 00:00
植松さん、コメントありがとうございます! こちらこそご無沙汰しています。
たしかに楽しいクラシック番組がほしいですね。
でもまあ、昔とすっかり環境が変わって、動画サイトなどでもクラシックを試聴できるようになりましたものね。
植松さんのブログ、旅の記録が素晴らしいですね~。
私の方は、多忙なのと、表現意欲がすっかりそがれてしまってるのとで、ひどいありさまなのですが、またいつか再開できれば。
投稿: NAGI | 2014/12/06 21:02