忘れないようにしなくちゃ
前期の大学院演習は、大岡昇平と武田泰淳だった。
そのとき話題になった劇団四季の「ひかりごけ」が、年明けにテレビ放映される。
もう一本は加藤道夫。この人も三島と縁が深い。「なよたけ」も見てみたいなあ。。
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NHK教育テレビ 芸術劇場
2010年1月8日(金)の放送内容放送時間:22時30分~25時00分(※放送時間を延長してお送りします)
案内役:
礒野 佑子アナウンサー
情報コーナー 「劇団四季・日本創作劇の魅力」劇団四季のストレートプレイはフランス等の海外現代劇、シェイクスピア等の古典劇、そして大きな柱の一つとして上げられる、日本人作家による創作劇がある。1955年、「ひかりごけ」は劇団四季初の日本創作劇として誕生する。1960年代には石原慎太郎、寺山修司ら当時デビュー間もない新進気鋭の作家達による創作劇の連続上演。1970年代には加藤道夫の「なよたけ」、そして90年代に上演された作品が、音楽劇「思い出を売る男」である。
劇団四季がこれまで上演した日本創作劇を紹介しながら、代表作ともいえる2作品「ひかりごけ」「思い出を売る男」の魅力をお伝えする。劇場中継(1) 「ひかりごけ」
武田泰淳作「ひかりごけ」は、船が難破して雪と氷に閉ざされた4人の船員が、次第に極限状態に追い込まれてゆく姿を通して、生きることの意味を真正面から問うドラマである。
作品内容が高い評価を得たことに加え、上下左右から舞台奥へと走る線が美しい基盤目を作り、所々に小さな円窓が開けられ、直線と円の幾何学的な白い密室を創り出した舞台装置で、作品に描かれている人間の極限状態を“箱”で表現した当時21歳の新進舞台装置家・金森馨の前衛的な舞台美術も大きな話題となった作品である。[あらすじ]
第2次世界大戦の最中の昭和19年12月。日本軍の急務を負った船団「暁部隊」は小樽港に向けて根室港を出帆した。
空模様は朝から怪しく、羅臼沖合にさしかかった頃、北海道特有の吹雪が襲いかかる。不安な航海を続けていた船団の中の1隻がついに機関部に故障を生じ難破してしまう。4人の乗組員、船長、八蔵、五助、西川はロープをつたって辛うじて近くの孤島に難を避けるが、雪と氷に覆われた島には、人間の食用となりうるものは時々見かけるアザラシぐらいである。
4人は壊れかかった小屋から洞窟へと避難場所を替えるが、最後のアザラシの肉をむさぼり食って以来、海岸にはもう 何一つ見当たらない。襲いかかる飢えと寒さ―お互い励まし合って、その状況に耐えていた4人も今では孤独の中に閉じ込められ、重い沈黙が支配するばかり。そして生き残るための壮絶な葛藤が始まる―。
<作>
武田 泰淳
<演出>
浅利 慶太
<装置>
金森 馨
<出演>
日下 武史 中村 匠 神保 幸由 髙橋 征郎 ほか
<収録>
2009年4月 東京 自由劇場劇場中継(2) 「思い出を売る男」
「思い出を売る男」の原作者、加藤道夫は新劇の名作を多数世に残した劇作家である。加藤道夫は劇団四季代表の浅利慶太、日下武史ら劇団四季創立メンバーにとって高校の恩師であり、演劇において指導者でもあった。音楽は浅利慶太の同窓生で日本を代表する作曲家の林光。
敗戦のうらぶれた街角を舞台に、オルゴールとサクソフォンを奏でながら“思い出”を売る男。彼の音楽によって思い出を呼び覚まされる通りすがりの人間たちが織り成す、戦後間もない焼け跡の風景を懐かしくも物悲しく蘇らせる舞台である。[あらすじ]
どこか不思議な雰囲気の漂う薄暗い裏街、一人の男が古ぼけたサクソフォンを吹いている。「思い出を売ります。美しい音楽に蘇る幸福な夢。君よ、思い出に生き給え。思い出は狩の角笛…」男は道行く人に思い出を売っている。灰色の壁、ほの暗い街灯、三日三晩探し歩いてやっと見つけた、思い出を蘇らせるのに最もふさわしいこの場所で。彼の奏でる音楽にひきつけられるようにさまざまな人が現れる。まだ思い出を持つことのない無邪気な幼い花売り娘。世間をたくましく、したたかに生きている広告屋。そして重く暗い影をひきずる街の女―。男の吹く「巴里の屋根の下」のサクソフォン吹きの恋人との思い出を蘇らせる。…“それだけが君を支える唯ひとつの生き甲斐なんだ”―女は生きる勇気を奮い起こすように街の中に消えてゆくのだった。故郷に愛しい少女を残したG.Iの青年は男の奏でるメロディーの中に少女の面影を見つけ、陽気な乞食は明るく希望に満ちた音楽をリクエストして、俗世がいかにくだらないか男に語って聞かせる。
突然、街がざわめきだす。この界隈の親分、黒マスクのジョオが人を殺し、ピストルを持ったまま逃走しているというのだ。皆が巻き添えを恐れて逃げる中、男はサクソフォンを吹きつづける。そこへ一人の男が現れた。黒マスクのジョオである。ジョオは彼を追う警官の目からにげるため、男から上着と帽子を奪い、男のサクソフォンを吹きはじめる。そのメロディーは街の女が恋人との思い出の曲だと言って涙を流したあの「巴里の屋根の下」だった。もしやと思いながらも男はジョオの奏でる音色に合わせて歌う―。
警官はジョオに気づかず去っていった。男はジョオに尋ねる。“あなたはあの曲に何か覚えはないのですか?”ジョオは自分がサクソフォンを吹けることも、たった今無我夢中で吹いた「巴里の屋根の下」のメロディーのことも覚えていないという。彼は戦場で戦前の記憶を一切失ってしまっているのだ。男が思い切って街の女のことを言おうとした時、再び警官の近づく音がする。ジョオは男に礼を言い、去ってゆく。サクソフォンを吹きつづける男。遠くから銃声が聞こえてくる…。
<作>
加藤 道夫
<演出>
浅利 慶太
<装置>
林 光
<出演>
田邊 真也 味方 隆司 金田 俊秀 日下 武史 芝 清道 関根 麻帆 野村 玲子 西 珠美 ほか
<収録>
2008年7月 東京 自由劇場
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