昼ノ月「顔を見ないと忘れる」
演劇ユニット 昼ノ月「顔を見ないと忘れる」
日時:2008年11月7~9日
場所:山小屋シアター
作・演出:鈴江俊郎
出演:二口大学・押谷裕子
不思議な味わいの二人芝居。
初見だったけど、京都の作家・俳優による作品。
舞台の中央に20センチ間隔ぐらいで針金状の幕?が引かれて、舞台を二分し、幕の中間に机。その両側に椅子が一つずつ。
手前の椅子に妻が座り、幕を挟んで向うの椅子に夫が坐る。
二人は常に針金の幕に阻まれている。
舞台は平場にあり、舞台の三方を客席が囲んで見下ろす形。
中央の客は、夫の正面と妻の後ろ姿を見る。両脇の客は、夫と妻の横顔を見る。
中央の客は、妻に同化する形となっている。
刑務所に入っている夫を、月に1度面会に行く妻。
子どもには、父は遠い所に行っていて、偉くなって帰ってくると話している。
夫は、盗みのため、4回目の刑務所入り。
妻のやりきれなさと、夫の自分ではどうしようもない衝動と妻への猜疑心。
そうしたものを乗り越えて、最初は不調和だった二人のリコーダーの音色が、最後は純朴に調和していく。
中途に、現在の刑務所の待遇の問題点を淡々と読み上げる社会性も織りまぜながら、きちんと作られていた。
ただ、途中で過去に戻った(?)場面がよくわからなかった。レシートをノートに張り付けていたのは何だったのか。また、妻役の女性が「僕」と言っていたので、別の少年の役なのかと思ったり、よくよく見ていると出あったころの夫婦のようにも思えたり。
最後の夫の方言での長ゼリフも意味不明で、おそらくは貧困から盗みをした、といったことなのかなと思ったけど、よくわからなかった。
あのあたり、必要だったのだろうか・・。
全体的に、社会性と心理劇とがうまく調和した二人芝居だっただけに、その二カ所が残念。
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