2日目
クィア学会2日目。午前4本、午後4本の発表を聞いて、お腹いっぱい。
3会場のうち、主に、言説分析・表象研究の発表を選んで聴く。
1人あたりの持ち時間30分(20分発表、10分質疑)だけど、発表が延びることが多く、質疑時間が短かかったのが残念。それでも、質問もできて、実り多かった。
午前中は、大正期や昭和初期の研究で、社会学・文学・映画論。
昨日、お目にかかった黒岩さんのご発表は、乱歩の「一寸法師」を対象に、「セクシュアリティ」と「人種」の表象を明確に論じておられ、たいへん刺激的だった。とくに明智小五郎の「クィアネス」の指摘の部分は興味深く伺った。
午後の最初は、やおい、腐女子に関する検討。午後の後半は、戦後の女装の男娼、タチ/ネコの記号史に関して。
石田さんの「タチ/ネコの記号史」は風俗雑誌を縦横に用いながら、綿密に検討され、とにかく面白かった。とくに初期の、歌舞伎が「タチ」の由来であるという部分について。歌右衛門も例に上げられ(「生駒屋」ではなく「成駒屋」)、三島との関連も想起させられた。
菅野さんの映画分析や、溝口さんのヤオイ論にも、多大な刺激を受ける。
このあたり、文学研究ととても密接に関わっているし、方法的にも使えそう。
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学際的なクィア学会ならでは、異分野の発表を聞いて刺激を受けた。
ただ、近代文学研究も文化研究が多くなってきているけど、今日の研究発表を聞いていて、文学研究者のウリはやはり精読にあるという思いを強くした。大量の言説分析/処理とは違う、丁寧な読み・読みの精度。もちろん、それに自閉してしまってはダメだけど。
それと、しみじみ感じたのは、広島で全国学会があるとこんなにラクなのかということ。
2日間の学会でも自宅から行けて、終わってもすぐに帰れる、あるいは他所にも立ち寄れる、なんて、これまでなかった。交通費・宿泊費もかからないし。
ネットでつながる時代ではあるけれど、ナマを体験するのとは、やはり得られる情報量が大きく違し、人との直接的な交流もできる。ハレではなく日常生活の線上で、全国学会の刺激を得られるメリットは大きい。
東京の連中はいつもこんな美味しい思いをしているのか・・。
でもまあ、情報過剰でアップアップしなくてすむ、とも言えるわけで、努力し意識して吸収しながら、じっくりボチボチやっていきませう。
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昨日、今日と、会場で書籍販売に来られていた高雄さんとお話する。
ずいぶん久しぶりにお会いして、なんだかついつい、フェミニスト・カウンセリングを紹介してくださいよ~、などとグチってしまい、40代は仕事も家庭も忙しいから疲れてるんだよ、カウンセリングよりも、まずは飲もうよ、と慰められ、目の奥がツンとくる。
ありがとうこざいました。そのうち、ぜひ忘年会をいたしましょう。
ショーバイのお邪魔をしてしまったけど、あたしも一冊、売り上げに貢献。。
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CR(意識覚醒)グループ―ガイドラインとファシリテーターの役割 (kazoku‐sya・1000シリーズ) 田上 時子 家族社 2004-08 by G-Tools |
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