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2007/07/29

モケレンベンベ・プロジェクト「桃の実」

Momo_tirasi 2007 MOKELE MBE MBE PROJECT ~チンチン電車で心の小旅行~IV 桃の実

・2007年7月29日(日)14時~
・広島電鉄 貸切電車内(650型被爆電車)
 広電本社~横川~広電本社
・原作:堀川恵子、小笠原信之「チンチン電車と女学生」
・脚色:及川均、藤沢弥生

→公演チラシ ・ 
中国新聞2007.7.29

Hiroden 実際に走る路面電車の中で、芝居をしようという発想の面白さ。
今も広島市内を走っている被爆電車2両のうちの1両を貸し切っての公演。東京・長崎・広島と場所を移しての最終公演に乗車してみた。

広電本社で紺の制服にモンペ姿の車掌さんに迎えられて、電車に乗り込む。
3人の女性車掌の「チンチン、発車します」の声で電車が動き出す。ほかに、飛び乗ってきた現代から闖入した男性と、途中の電停から乗り込んだトレンチコートの男性科学者もいるが、前半は、ほとんど3人の女車掌のセリフで進んでいく。
戦争末期、男性乗務員が次々に招集されて不足を補うために、広電は家政女学校を作り、広島の郊外から十代の女の子を募って乗務員にした。憧れの都会での生活、厳しい労働、楽しみ、やがて労働条件も厳しくなり(人手不足で三交代勤務、車掌だけではなく運転も行う)、食料不足もつのってくる。

折り返しの横川駅に停車したところで、原爆投下。
後半は、修羅の状態のなか、被爆から三日後に電車を動かしたこと、仲間の遺体を裏山に運んでは焼いたことなどが示されていく。そうした日々の中で手にした桃の実の甘かったこと。生きているという実感。
だが、男性社員たちが復員してきて、学校は閉じられ、女学生たちは電車を去る。

観客は、走っている電車の乗客となって、目の前でなされている芝居のゆくえを見守るのだが、外は見慣れた広島の街。いつもは遅いといらいらする電車のスピードが、芝居には本当にちょうどよい。
停留所で信号待ちしていると、電車を待っている人たちが車内を見てフシギそうな顔をしている(貸切りなので、停車してもドアは開かない)。窓の外には通行人がいて、平和な光景や、今の原爆ドームが流れていくのを見ながら、車内では、戦中や投下直後の状態が再現されていく。日常と非日常のギャップ。しかし、観客の身体のなかで、その二つが地続きとして感じられる、フシギな感覚の体験。

そして、3人の女性車掌たちが、復員した男性たちによって仕事を失い、「運転手さん、停めてください。私たちはここで降ります」と、終点の数駅前「中電前」で降りてしまう。乗車駅で観客を迎えいれるところからずっと観客の目の前にいて、時に笑い、時に涙しながら語りつづけていた彼女たちが、私たちの前からいなくなってしまったのには驚いた。
動き出す電車に、3人は、「忘れないでー。私たちのこと、忘れないでー」と叫んで、手を伸ばす。やがて見えなくなる。
その後、降車場まで、車内に残った男性2人(現代の青年と、科学者)が語っているのだが、何を言っているのだか、ほとんど耳に残らなかった。

もちろん、この芝居のテーマは原爆なのだけど、都市空間を走る電車を舞台にしてしまうという演劇の方法も、いつだって女性たちが労働力の調整として便利に使い回されるというジェンダーの問題も、なんだか色々なことが詰められていた、1時間の電車の旅だった。

3人の女性たちが、ちょっと劇団青い鳥の面々のような雰囲気で、とてもよい感じ。手作りの説明版や、風鈴を桃の実に見立てるところなど、素朴な味わいで、学校演劇にしてもよさそう。広島弁が全く違和感なく聞けたところも、素晴らしい。

走る電車のなかでの演劇という実験的試みも面白い。(ただ、広島公演なのだから、実際に走っている広電本社-横川間にない停留所名をあげない方がよかったんじゃないかな。せっかくのめり込んで見ているのに、寺町あたりを走りながら、「次は的場町」などと言われると、ああ、フィクションなんだと現実に戻されてしまって、ちょっと残念だった。欲を言えば、実際に走っている所とセリフの中の電停名が合致していれば、もっとリアルになったと思う)。
そうした点で、この芝居の影の功労者は、広電のベテラン運転手さんかも。微妙に速度調整をしていたようで、横川に着くところや、車掌の降車の地点など、芝居の進行とぴったりと合っていた。

Momonomi 広電本社車庫に戻って配られたアンケートやパンフレットと一緒に、手作りのブローチが入っていた。
昨日の公演で観客として乗車された、かつて女学生車掌さんだった方からのプレゼントだとのこと。安全ピンとビーズでできた、とてもかわいらしいブローチ。もう80歳近いはずで、命ということ、末盛さんの被爆からの長い年月に思いをはせさせられた。

4535584257 チンチン電車と女学生
堀川 惠子 小笠原 信之
日本評論社  2005-07


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コメント

そんな素敵な企画があっただなんて知りませんでした!!すごく悔しい(>_<)
といっても29日は模試で28日もショートフィルムフェスティバル言ってたからどの道行けなかったかもしれないのですが。

「桃の実」の公演については、中国新聞などに予告が載っていましたが、やはりあまり知られていなかったのでしょうね。乗車していたのは、ふだん劇場に来る感じの人たちとは少し違うようでした。

ショートフィルムフェスティバル、いいですね。
私はまだマリーナホップに行ったことがないのです。(前に庚午に住んでいた頃には観音によく行っていたのだけど)。

やっぱりあまり知られていなかったんですね。宣伝不足?
私もまだマリーナホップに行ったことが無くて、ショートフィルムフェスティバルはデオデオで見ました♪
普段見る映画とはまた違った趣旨で面白かったです^^

「桃の実」は、昨日夕方のNHKテレビのニュースで紹介されていました。(ふだんはほとんどテレビをつけないのだけど、昨日は台風情報を知りたくてつけたら、やってました)。かつての女学生車掌の末盛さんから話を聞いて、脚本づくりから始めたようでした。

デオデオでもやっていたのですか。映画祭での映画って、ふだん見るのと違って面白いですよね。

はい☆冷房効きすぎて寒かったですけどね(笑)

12日に劇団一跡二跳の古城十忍さん演出でアステールプラザ多目的スタジオで「男でしょっ!」のワークショップ発表会(?)があります。時間は15:00~と18:00~とがあります。入場無料ですので、暇でしたらぜひいらしてください♪

週末は祖母と叔父の初盆のため、岡山県北に出かけていて、12日にうかがうことはできません。なぎささんの舞台を見られなくて、本当に残念です。
古城さんの芝居は、以前に「パラサイト・パラダイス」を見たことがあります。(偶然、私の隣席で古城さんがご覧になっていました)。家族とは何なのかということを真摯に追求した作品でした。
きっとワークショップ発表会も、面白いものになりそうですね。がんばってください。遠くから応援しています。

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