「岸田國士Retrospective」
演劇企画室Vektor 『岸田國士Retrospective/連続上演會』
・2007年7月15日(日)14時~、18時~
・山小屋シアター
・作:岸田國士、演出:山口望
・14時~ 「葉桜」「明日は天気」「留守」
・18時~ 「恋愛恐怖病」「驟雨」
前売り完売だったけど、開演1時間前に行って当日券をゲット。昼・夜ともに、一家で見た。
昼3本+夜2本、幕間にギター演奏と一人人形芝居があって、人形芝居も岸田國士だったので、計6本。岸田國士三昧の一日。
心理のひだをセリフだけで表す岸田戯曲を、よく表現していた。広島の役者もうまいなあと思う。
着物の所作も、こなれた風でよい。舞台装置がほとんどない簡素な舞台で、2~3人の役者が坐って会話するだけで、芝居が成立するのだ。
娘が岸田國士のセリフ劇についてこられるか心配だったけど、内容は理解し面白かったようで、昼の部が終わって、夜の部も観たいとのこと。また、最前列横に陣取った。
それにしても、岸田國士。「独特のフェミニズム」などと言われるけど、そうはいっても大正末~昭和初期の時代の限界はある。だが、日常の一部を切り取り、夫婦やごく親しい少人数の登場人物のセリフだけで、その人生をかいま見せてしまう手法は鮮やかだ。三島戯曲のような激しい劇的葛藤はないが、しっかりと芝居になっている。
漱石の影響も確かに感じる。
見ているうちに、岸田國士で何か書けそうな気がしてきた。ただ、全集しかないので授業では扱いにくいなあ。(文庫で戯曲まで出ている三島由紀夫はやはり恵まれている)。
演劇祭っぽく、受付の人たちは浴衣姿。観客には、うちわが配られ、くじびきも(ダンナがラムネをもらった)。
夜の部の後には、アフタートークもあり、お菓子や飲み物のサービスもあった。
(夜の部には、平田オリザさんも来場。私たちのすぐ後ろの席だったので、サービスのチョコのカゴ(自分の分をとって、次の人に回す)を娘がオリザさんに手渡した。帰りに、ダンナが娘にオリザさんのことを説明していたけど、よくわかっていなかったみたい)。
アフタートークの内容は、広島の演劇事情も少しわかった。私は岸田國士を広島で見たのは初めてだったのだけど、劇団月曜会が時々上演していたようだ。なるほど。
5月に学会で上京したときに、ナイロン100℃の 「犬は鎖につなぐべからず ~岸田國士一幕劇コレクション~」(青山円形劇場)を見た。やはり岸田の短い戯曲複数を一つにつないだもので、着物でレトロな雰囲気を出していた。今、岸田國士が流行り?と思ったのだけど、そういうわけでもないみたい。
舞台は16日も、昼・夜あり。(ただし、チケットは完売で、当日券は出ないもよう)。
岸田國士特集の第2弾がぜひ観たいものです。今度は、「紙風船」をぜひ!
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» もう一ヶ月近く前のことになりますが… [みどり会館ハーブ日記]
「アフタートークのゲストで来てほしい」とY君に言われ、広島であった演劇の公演に行ってきた。(もう1ヶ月近くも前のことになるが……)
すぐに書けばいいのだろうが、なかなかそれが出来ない。当日のことを、1ヶ月間ずっと頭の中で巡らせていた。
(観劇後すぐにブログに書き込むことが出来る人が、本当に羨ましい)
さて、そのアフタートークなのだが、Y君の段取りがすこぶる悪い。
何について喋るかを、事前に打ち合わせておこうと言っておいたのに、連絡(しかもメールで)があったのは公演2日前。(いや、1日前だ... [続きを読む]
» 岸田國士レトロスペクティブ終了! [「ひょうげん舎まるち」のページ]
「岸田國士RETROSPECTIVE−連続上演會−」の公演が終りました。とにかく何の事故も無く、みんなが気持ちを一つにしてやり遂げられたことは幸いでした。 [続きを読む]
先日コメントを書かせていただきましたなぎさです^^
16日の昼からの「恋愛恐怖病」と「驟雨」だけ鑑賞しました。
岸田国士(どのように読むんでしょうか?)の作品は初めてでしたが、新鮮で面白かったです。他の作品も見てみたかった…。
平田オリザさんは今度自身のお芝居の一環で広島で演出をされるようですね。練習の帰りとかだったのかな…。
投稿: なぎさ | 2007/07/17 21:40
なぎささん、こんにちは。
16日の昼に行かれたのですね。作家名は「きしだくにお」と読みます。もう一つのプログラムの3作の方が結末がほのぼのとしていました。
チケットも完売だったし、2日間しか公演しなかったのはもったいないですよね。
オリザさんの広島での芝居のこと、教えてくださってありがとうございます。こちらですね。なるほどー。
そういえば、後ろの席で一緒にいた方々と山小屋シアターの座席の配置のことを話しておられました。自分の公演のときの構想だったのですね。
投稿: NAGI | 2007/07/17 23:25
読み方を教えてくださってありがとうございます。「士」の部分で特に戸惑っていました(笑)「お」と読むんですねー。
もっと公演を長くしてくれていたら見に行けたかもしれないと思うと残念です。逃した魚は大きかったのかも…??
オリザさんのお芝居は山小屋での公演でしたね。座席も含め、どのような芝居が見られるか今から楽しみです♪
投稿: なぎさ | 2007/07/18 21:18
なぎささんは、広島の演劇に詳しいのですね。もしかして、関わっておられるのですか?
私は観劇頻度にムラがあるので、なかなか地元演劇の情報が入ってきません。芝居を見に行くと、チラシなどで公演予定がわかるのですが、しばらく遠ざかると・・。東京の劇団が来広するのは、頼まなくてもチケぴなどがメールで知らせてくれるのになあ。
「THE座」を定期購読したりした方がよいのかしら。。
面白い地元演劇情報があったら、ぜひ教えてくださいね。
投稿: NAGI | 2007/07/18 23:20
以前演劇をしていましたが、今は高校生なので本格的な活動は出来ないで居ます。演劇部には所属していません…。なのでとりあえず演劇をしているいろんな人と出来るだけ話したり色々な公演を見に行ったりはしているので情報はわりとあるかもしれないです^^夏には古城十忍さんのワークショップに参加するので、発表会の前にはお知らせをします♪
投稿: なぎさ | 2007/07/19 20:29
現役の高校生さんですか!? ネットは色々な方と知り合えて、面白いですね。これからもよろしくお願いします。
古城さんのワークショップ、面白そうですね。発表会、がんばってくださいね。
私は鈴木裕美さんのに興味があるのですが、全く演劇経験ゼロですから、参加は無理でしょう。でも、先日の「宝塚BOYS」とか「ブラウニング・バージョン」「OUT」などを手がけた鈴木さんのワークショップを覗いてみたい気持ちも抑えがたい。。
投稿: NAGI | 2007/07/19 22:20
この人の作品で「奇跡の人」を見ました。
夜なので行けないと思います…。ぜひ、見学などなさったら感想を聞かせてください^^
投稿: なぎさ | 2007/07/22 19:34
NAGIさま、ずーっと以前にこまつ座「父と暮せば」の感想でコメントなどを書かせていただいた「まるち」です。ご無沙汰いたしております。
大変遅くなりましたが『岸田國士Retrospective/連続上演會』をご覧くださいまして(しかもご家族で!)ありがとうございました。
私は「葉桜」の“母”を演じておりました。本当に久々のストレートプレーで戸惑うこともたくさんありましたが、幸せな経験だったと思っております。
温かいご感想を頂けたことも嬉しく存じます。公演前後のことなどあれこれ書いておりますので、お暇な折に「まるち」へもお越しください。
NAGIさまのブログも遡って読ませていただきたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。
投稿: ひょうげん舎まるち | 2007/08/12 10:43
追加のお知らせです。
私は広島演劇協会の個人会員で、情報誌グループのチーフをしております。
演劇情報誌「THE・座々」は年会費1000円で定期購読していただくことができます。(年4回発行)
詳しくは広島演劇協会のホームページをご覧ください。
広島演劇協会engeki1640@yahoo.co.jp 宛てにメールでお申込み頂くこともできます。
どうぞご活用ください。
投稿: ひょうげん舎まるち | 2007/08/12 21:20
まるちさま、ご無沙汰しております。
TBとコメントをありがとうございます。こちらからもTBさせていただきました。
公演から、もう一カ月近くになるのですね。あの日は、私たち家族にとっても「お祭り」という感じでした。
昼の部は完売でしたが、結末がほのぼのとした作品が多く、当日券で見ることができて、本当によかったと感じています。
「葉桜」は母-娘の微妙な関係と情感が出ていて、とても素敵でした。
「THE・座々」についてお教えくださいまして、ありがとうございます! さすが、まるちさんがチーフをされているだけあって、読みごたえがあります。
ときどき置いてあるのを見かけるので、定期購読するまでもないか・・などと思っていると、入手できなくなってしまうのですよね。検討してみます。
投稿: NAGI | 2007/08/13 13:56
「まるち」のほうへもトラバとコメントをありがとうございました。「THE・座々」は昨年から私が引き継ぎましたが、まだまだ発展途上で…苦労しております。何かの機会にご執筆いただけませんでしょうか。ぜひお願いいたします!
郵送時にチラシや招待券のプレゼントなども計画しておりますので、よろしければご検討ください。
投稿: ひょうげん舎まるち | 2007/08/14 00:07
私は、ただ芝居を見るのが好きなだけで、舞台の側に立ったことがありませんので・・。
(でも、「演劇教育でガッコーを面白く!」の会の設立趣旨などを仄聞しても、学校・教育と演劇は関係深いと思います)。
「THE・座々」について、色々と工夫をされているのですね。
プレゼントのコトバに、心が揺り動かされました(^_^)。ぜひ定期購読を申し込ませていただきます!
投稿: NAGI | 2007/08/14 11:06
ありがとうございます。「THE・座々」購読のお申込み、お待ちしています。
芝居を観る人すべてに執筆者の資格があると思っています。みんなでワイワイ言うことで、演劇もレベルアップしていくに違いありません。
平田オリザさんの講演は1度伺ったことがあります。
昔は国語の教科書に必ず「劇」が載っていて、実際にやってみたものですよね。演じてみることで自分が変わる、友達同士の関係が変わる。
子どもも大人も経験してみて欲しいことですね。
投稿: ひょうげん舎まるち | 2007/08/14 22:46
「THE・座々」、ご紹介いただいた広島演劇協会にメールで定期購読の申込みをしました。おかげさまで、次号から確実に入手できます。届くのが楽しみ。
たしかに昔は国語の教科書に「劇」が載っていましたね。いまはどうなのでしょう。
芝居を見たり、実際に演じることによって、自己表現する力を身につけられると素敵だと思います。
投稿: NAGI | 2007/08/15 21:56