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2007/07/30

選挙

残念でした。
やはり組織のカベは厚かったということでしょうか。
でも、勇気をもらいました。河野さん、本当にお疲れさま。

2007/07/29

モケレンベンベ・プロジェクト「桃の実」

Momo_tirasi 2007 MOKELE MBE MBE PROJECT ~チンチン電車で心の小旅行~IV 桃の実

・2007年7月29日(日)14時~
・広島電鉄 貸切電車内(650型被爆電車)
 広電本社~横川~広電本社
・原作:堀川恵子、小笠原信之「チンチン電車と女学生」
・脚色:及川均、藤沢弥生

→公演チラシ ・ 
中国新聞2007.7.29

Hiroden 実際に走る路面電車の中で、芝居をしようという発想の面白さ。
今も広島市内を走っている被爆電車2両のうちの1両を貸し切っての公演。東京・長崎・広島と場所を移しての最終公演に乗車してみた。

広電本社で紺の制服にモンペ姿の車掌さんに迎えられて、電車に乗り込む。
3人の女性車掌の「チンチン、発車します」の声で電車が動き出す。ほかに、飛び乗ってきた現代から闖入した男性と、途中の電停から乗り込んだトレンチコートの男性科学者もいるが、前半は、ほとんど3人の女車掌のセリフで進んでいく。
戦争末期、男性乗務員が次々に招集されて不足を補うために、広電は家政女学校を作り、広島の郊外から十代の女の子を募って乗務員にした。憧れの都会での生活、厳しい労働、楽しみ、やがて労働条件も厳しくなり(人手不足で三交代勤務、車掌だけではなく運転も行う)、食料不足もつのってくる。

折り返しの横川駅に停車したところで、原爆投下。
後半は、修羅の状態のなか、被爆から三日後に電車を動かしたこと、仲間の遺体を裏山に運んでは焼いたことなどが示されていく。そうした日々の中で手にした桃の実の甘かったこと。生きているという実感。
だが、男性社員たちが復員してきて、学校は閉じられ、女学生たちは電車を去る。

観客は、走っている電車の乗客となって、目の前でなされている芝居のゆくえを見守るのだが、外は見慣れた広島の街。いつもは遅いといらいらする電車のスピードが、芝居には本当にちょうどよい。
停留所で信号待ちしていると、電車を待っている人たちが車内を見てフシギそうな顔をしている(貸切りなので、停車してもドアは開かない)。窓の外には通行人がいて、平和な光景や、今の原爆ドームが流れていくのを見ながら、車内では、戦中や投下直後の状態が再現されていく。日常と非日常のギャップ。しかし、観客の身体のなかで、その二つが地続きとして感じられる、フシギな感覚の体験。

そして、3人の女性車掌たちが、復員した男性たちによって仕事を失い、「運転手さん、停めてください。私たちはここで降ります」と、終点の数駅前「中電前」で降りてしまう。乗車駅で観客を迎えいれるところからずっと観客の目の前にいて、時に笑い、時に涙しながら語りつづけていた彼女たちが、私たちの前からいなくなってしまったのには驚いた。
動き出す電車に、3人は、「忘れないでー。私たちのこと、忘れないでー」と叫んで、手を伸ばす。やがて見えなくなる。
その後、降車場まで、車内に残った男性2人(現代の青年と、科学者)が語っているのだが、何を言っているのだか、ほとんど耳に残らなかった。

もちろん、この芝居のテーマは原爆なのだけど、都市空間を走る電車を舞台にしてしまうという演劇の方法も、いつだって女性たちが労働力の調整として便利に使い回されるというジェンダーの問題も、なんだか色々なことが詰められていた、1時間の電車の旅だった。

3人の女性たちが、ちょっと劇団青い鳥の面々のような雰囲気で、とてもよい感じ。手作りの説明版や、風鈴を桃の実に見立てるところなど、素朴な味わいで、学校演劇にしてもよさそう。広島弁が全く違和感なく聞けたところも、素晴らしい。

走る電車のなかでの演劇という実験的試みも面白い。(ただ、広島公演なのだから、実際に走っている広電本社-横川間にない停留所名をあげない方がよかったんじゃないかな。せっかくのめり込んで見ているのに、寺町あたりを走りながら、「次は的場町」などと言われると、ああ、フィクションなんだと現実に戻されてしまって、ちょっと残念だった。欲を言えば、実際に走っている所とセリフの中の電停名が合致していれば、もっとリアルになったと思う)。
そうした点で、この芝居の影の功労者は、広電のベテラン運転手さんかも。微妙に速度調整をしていたようで、横川に着くところや、車掌の降車の地点など、芝居の進行とぴったりと合っていた。

Momonomi 広電本社車庫に戻って配られたアンケートやパンフレットと一緒に、手作りのブローチが入っていた。
昨日の公演で観客として乗車された、かつて女学生車掌さんだった方からのプレゼントだとのこと。安全ピンとビーズでできた、とてもかわいらしいブローチ。もう80歳近いはずで、命ということ、末盛さんの被爆からの長い年月に思いをはせさせられた。

4535584257 チンチン電車と女学生
堀川 惠子 小笠原 信之
日本評論社  2005-07


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2007/07/28

『火のくつと風のサンダル』

親の方は、毎日バタバタだけど、子どもはもう夏休み。
今年から広島市では2学期制になって、あゆみ(通知表)をもらわないまま、夏休み突入で、どうもすっきりしない。

さて、うちでは、童話館のぶっくくらぶから、毎月、本を届けてもらっている。今は小さなりんごコース
(保育園時代から長いこと、福音館のこどものともシリーズや「おおきなポケット」なども講読していたけど、そちらは卒業)。

本屋さんでも子どもの本を買うし、近くに区立図書館があるのでよく借りるのだけれど、こうした定期講読だと自分では選ばないような本も読むことができて面白い。
娘は、毎月、自分の名前あてに本が届くのが嬉しいようだ。来るとその日のうちに読んでしまい、今月のは短かかった、とか、面白いけー読んでみんさい、とか、色々と話す。
グリム童話の分厚いのが届いて、しばらく読み聞かせをしていたこともあった。

今月は、『火のくつと風のサンダル』。

4924938750 火のくつと風のサンダル
ウルズラ ウェルフェル Ursula Wolfel 関 楠生
童話館出版  1997-08

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1年間のラインナップの表が届いたとき、あまりに懐かしかった。
「わあ、『火のくつと風のサンダル』だ! ママ、これ小学生の頃に読んだよ~」
ということで、娘も読むのを楽しみにしていたのだ。
今日、届いて、さっそく娘が読み、続いて私も読み、今はダンナが読んでいる。

奥付をみると、1997年発行とあったのでびっくりしたのだが、解説によると、私が読んだのは1966年発行の学研版だったようだ。

ちびでデブなことにコンプレックスを持っている男の子が、父親と一緒に旅をするなかで、ありのままの自分を肯定できるようになる物語だ。
もうずいぶん前に読んだのに、両親と自分用にチョコレートと葉巻とあめを買ってくるところなど、記憶に残っているところが何カ所もあった。物語の力はすごい。

それにしても冒険というほどではないにせよ、旅に出る物語は、父親と息子というパターンが多い。娘と母親、娘と父親が旅をする児童文学の面白いのはないかなあ。

お知らせ:東広島映画祭

第一回東広島映画祭が、本年11月30日(金)深夜(正確には、12月1日(土))、Tジョイ東広島で行われます。

これは現代GPのフロントランナープログラムに選ばれた学生たちによる映画祭です。深夜0時から明け方6時半まで、通常営業後の映画館を借り切って、自主作成のショートムービーのコンペなど、もりだくさんの企画を練っているようです。
私も、審査員を頼まれて参加します。(金曜に授業・研究会のあと、深夜に映画を見まくって、翌日の土曜は大学院生研究発表会。大丈夫だろうか、とは思いつつ、面白そうなので・・)。

木曜日には、実行委員会の学生たちによる記者会見。(写真に大笑い。若いって、いいですなあ・・)。
中国新聞2007.7.27

短編映画の募集は、8月1日から10月15日まで。たくさんの参加を楽しみにしています。

2007/07/17

「宝塚BOYS」

Takarazukaboys 宝塚BOYS

・2007年7月17日(火)19時~
・広島アステールプラザ大ホール
・原作:辻則彦、作:中島淳彦、演出:鈴木裕美
・出演:葛山信吾、吉野圭吾、柳家花緑、三宅弘城、佐藤重幸、須賀貴匡、猪野学、初風諄、山路和弘

・舞台写真は、ここここ

敗戦直後、宝塚歌劇団に男子部が創設された。
新しい娯楽の世界の星になることを夢見て入団した7人の男たち。
──史実をもとに創作された、明日を夢見て懸命に生きる男たちの、コミカルで切ないドラマ。

7人のBOYSたちは、軍隊経験があったり、出征した父親の生死が不明であったり、長崎の原爆を目撃したり、それぞれに戦争による深い傷を負っている。
戦後の新しい社会と、宝塚男子部と重ね合わせて、懸命にダンスや歌のレッスンに励むものの、大劇場の舞台に立つ夢は、かないそうで何度も立ち消える。
そして、9年後、男子部解散が決まる。(これが敗戦の玉音放送と重ねられる。彼らは、二度、敗れたのだ。)

舞台は、練習室と寮の場面が交互に繰り返され、練習はするものの、女の園の宝塚で自分たちは必要とされているのか、本当に舞台に立つ日が来るのか、という疑心暗鬼が繰り返される。
徹底した抑圧状態の中に置かれている。

それだけに、最後、彼らが長い間夢見ていた舞台の夢想場面は、本当に晴れやかだった。
大劇場の大階段を背景に、スポットライトを浴びてのダンス。レビュー。歌。
羽を背負って、大階段を降りて来るシーンでは、会場からどよめきもおきた。

また、男子部解散のときの、「実力や、運命ではない。ここが宝塚だからだ」という説明。彼らは、自分たちではいかんともしようのない世界の中に入り込み、力尽きてしまったわけだ。
「宝塚BOYS」は、女の園に参入しようとした男性たちが疎外される話だが、一般的には男社会の中に参入しようとした女性たちが抑圧されるわけで、実に意味深な物語でもある。

キャストは、みんな味があり、ダンスの練習は大変だったんだろうなあ、と、しのばれた。
吉野圭吾のダンスが抜群。(「SHIROH」にも出ていたのね)。
そして、花録。ピアノは弾くは、マルチな活躍。こんな落語家がいるのだろうか!
紅一点の初風諄とベテランの山路和弘もしっかりと締めていて、いいアンサンブル。

そして、鈴木裕美の演出もみごと。
十分に笑いをとりつつ、人生の不条理さと、にもかかわらず懸命に夢を追う男たちの姿を、それぞれの人生とキャラクターを描き分けながら示していた。

舞台が終了して、カーテンコールが何回あったことか。
人生に報われない思いを抱きながら、夢を見つつ励む姿が、観客の心のひだを揺さぶったのだろう。

4343002950 男たちの宝塚―夢を追った研究生の半世紀
辻 則彦
神戸新聞総合出版センター  2004-12


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2007/07/16

大学説明会

Udon2_2 Udon_1 今日は、大学説明会のため、高松へ行ってきました。
説明会は午後からなので、晴れてれば午前中は栗林公園にでも行こうかと思っていたのだけど(映画『春の雪』ロケ地めぐり)、雨のため断念して、お昼前に到着。

高松は通過したことはあるのだけど、降りたのは初めて。
そもそも、四国には船や車で行くのみで、電車で行くのも初めて。初マリンライナー乗車。

すでにAO入試が実施されたこともあったからか、説明会の人出はさほどでもなく、それでも、学部説明をし、個別相談ブースにもいました。
親子づれや、本人が模試のためと親が代理で質問したり、親御さんの来場が多かった気が。そういうご時世なのですなあ。

昼と夕方と、高松駅近くで讃岐うどん!(うどん屋マップが駅に置いてある・・)。
美味だったけど、こうして本場と比べても、うちの近所の郷やさんは健闘してるなあ。

2007/07/15

「岸田國士Retrospective」

演劇企画室Vektor 『岸田國士Retrospective/連続上演會』
・2007年7月15日(日)14時~、18時~
・山小屋シアター
・作:岸田國士、演出:山口望
・14時~ 「葉桜」「明日は天気」「留守」
・18時~ 「恋愛恐怖病」「驟雨」

前売り完売だったけど、開演1時間前に行って当日券をゲット。昼・夜ともに、一家で見た。
昼3本+夜2本、幕間にギター演奏と一人人形芝居があって、人形芝居も岸田國士だったので、計6本。岸田國士三昧の一日。

心理のひだをセリフだけで表す岸田戯曲を、よく表現していた。広島の役者もうまいなあと思う。
着物の所作も、こなれた風でよい。舞台装置がほとんどない簡素な舞台で、2~3人の役者が坐って会話するだけで、芝居が成立するのだ。
娘が岸田國士のセリフ劇についてこられるか心配だったけど、内容は理解し面白かったようで、昼の部が終わって、夜の部も観たいとのこと。また、最前列横に陣取った。

それにしても、岸田國士。「独特のフェミニズム」などと言われるけど、そうはいっても大正末~昭和初期の時代の限界はある。だが、日常の一部を切り取り、夫婦やごく親しい少人数の登場人物のセリフだけで、その人生をかいま見せてしまう手法は鮮やかだ。三島戯曲のような激しい劇的葛藤はないが、しっかりと芝居になっている。
漱石の影響も確かに感じる。
見ているうちに、岸田國士で何か書けそうな気がしてきた。ただ、全集しかないので授業では扱いにくいなあ。(文庫で戯曲まで出ている三島由紀夫はやはり恵まれている)。

演劇祭っぽく、受付の人たちは浴衣姿。観客には、うちわが配られ、くじびきも(ダンナがラムネをもらった)。
夜の部の後には、アフタートークもあり、お菓子や飲み物のサービスもあった。
(夜の部には、平田オリザさんも来場。私たちのすぐ後ろの席だったので、サービスのチョコのカゴ(自分の分をとって、次の人に回す)を娘がオリザさんに手渡した。帰りに、ダンナが娘にオリザさんのことを説明していたけど、よくわかっていなかったみたい)。

アフタートークの内容は、広島の演劇事情も少しわかった。私は岸田國士を広島で見たのは初めてだったのだけど、劇団月曜会が時々上演していたようだ。なるほど。

5月に学会で上京したときに、ナイロン100℃の 「犬は鎖につなぐべからず ~岸田國士一幕劇コレクション~」(青山円形劇場)を見た。やはり岸田の短い戯曲複数を一つにつないだもので、着物でレトロな雰囲気を出していた。今、岸田國士が流行り?と思ったのだけど、そういうわけでもないみたい。

舞台は16日も、昼・夜あり。(ただし、チケットは完売で、当日券は出ないもよう)。
岸田國士特集の第2弾がぜひ観たいものです。今度は、「紙風船」をぜひ!

2007/07/14

三島文献

4305602563戦後文学を読む
佐藤 泰正
笠間書院 2007-06

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北川透「三島由紀夫『春の雪』を読む」を所収

台風

台風4号が接近するなか、AO入試が実施され、ただいま、お昼休憩中。(私は今回はラクをさせてもらっています)。
どうも四国方面から来た受験生は、帰れなくなってしまったらしい。
入試は明日に延期の可能性もあったのだけど、決行。延期したら来学できない受験生が出る可能性もあったわけで、本当に難しい判断だ。
とにかく今日の試験は全体にスケジュールを早めて、終了時刻も1時間繰り上がる予定。終わったら、さっさと帰宅しよう。

私は、明後日、大学説明会のため高松に行くのだけれど、台風のため中止もありうる、との連絡あり。でも台風の進行が予想より速いようなので、どうやら中止はなさそう。

それにしても、ルーティン以外の校務が重なる週だ。
水曜日には、高校の大学訪問の対応をして、その後、すぐに分野決定のための1年生の研究室訪問の対応。そして、夕方、オムニバスの授業担当。
木曜日は、男女共同参画関係の会合。

いろいろ面白いこともあったのだけど、そのうちに。

2007/07/10

三島由紀夫文学館の公式サイト

山中湖村の三島由紀夫文学館のホームページが、新装(改装?)オープンしたようです。
少し前から縮小されていて気になっていたのですが、この準備のためだったのですね。安心しました。
基本的な情報が見やすく配置され、このあともコンテンツが増えていきそうな雰囲気で、楽しみです。

ところで、前のサイトにあった掲示板は無くなっちゃったのでしょうか?
質問コーナーなど、情報が寄せられて面白い存在だったのですが、最近やや書き込みも低調で、消えちゃったのですかね。復活するといいですね。

2007/07/09

映画「夕凪の街 桜の国」

Yunagi 映画といえば、6月末に、試写会で「夕凪の街 桜の国」を観たのだった。

絶賛するつもりは毛頭ないけど、フツーに佳作だと思った。
映画「父と暮せば」のときにも書いたように、吉田喜重監督の「鏡の女たち」の違和感が強烈すぎて、あれと比べれば何でもOKのモードに入っているのかもしれない。)

基本的には原作に忠実で、「夕凪の街」と「桜の国」の二つのパートが有機的にからみながら展開していき、実写ならではの美しさもある。
「桜の国」のパートは、今の広島に暮らす者からみて、違和感なく、とても自然だった。
「夕凪の街」のパート。私が小学生の頃は、まだ元安川沿いに、いわゆる「原爆スラム」があった。週に2回、己斐から紙屋町にピアノを習いに電車で通う途中に見ていた風景の内実を、無知だった私は知らなかった。そうした痛い記憶をついてくる。

もちろん、原作も映画も、広島/日本の加害の歴史を描いていないし、叙情性が勝っているところは、とても気になる。原爆の惨状をリアルに活写することもない。
だが、日本の現役大臣が「原爆投下はしょうがない」と放言し、米特使によって「原爆は多くの日本人の命を救った」などといった発言がなされている2007年。今、作られ、見られてもよい映画だとは思う。被害すら風化しているのだ。戦争や原爆が夏の風物詩のように消費されることを警戒せねばならないが、「わかっているのは「死ねばいい」と誰かに思われたということ」という原作の訴えは、まだまだ必要だろう。

田中麗奈・麻生久美子の女優陣はよかった。
吉沢悠の「打越さん」もいい。「にごりえ」の結城朝之助じゃないけど、女の話をちゃんと聞いてくれる男はいいなあ、とつくづく思った。が、その打越さんが、「桜の国」で禿げ頭のオジサンになって再登場したときには、思わず苦笑。(田山涼成さん!)

試写会だったので、佐々部監督の挨拶があった。
広島での公開は、こわかったそうだ。(昔、つかこうへいの「広島に原爆を落とす日」公演のときに、稲垣吾郎もそんなことを言っていたなあ)。
色々な話をされていたけど、演出面では役者に涙をこらえるように指示したということ、また、映画の終わりに、作品の内容とは全く関わりのない流行歌手の歌をタイトルバックで流すのだけは絶対に避けたいと思い、それを通すことができた、と話していたのが印象に残っている。
ただ、「もはや漫画ではなく文学である」というコピーは、いかがなものでありましょうや・・・。

全国公開は、7月28日(土)から。
広島では、先行で、7月21日(土)から公開。
シネツイン2では、初日7月21日(土)12時の回上映終了後に、主演の田中麗奈・麻生久美子と佐々部清監督の3名による舞台挨拶アリ。(舞台挨拶の回は全席指定で、座席券は7月14日(土)午前9時30分より発売)。

4575297445 夕凪の街桜の国
こうの 史代
双葉社  2004-10

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2007/07/08

映画「選挙」

Senkyo 映画『選挙』
面白かった。ダンナに誘われて、あまり期待せずに見たのだけど、本当に面白い。
良質のドキュメンタリー映画は、何よりも能弁に、人と社会とを物語る。

2005年秋、川崎市議会議員補欠選挙に自民党公認候補として、落下傘出馬することになった山内和彦さんの選挙戦の様子をひたすらカメラは追う。
もともと自民党から最もほど遠い生き方をしていた山内さんと、妻さゆりさん。二人が、代議士や市議など選挙のベテランに教えられ、叱られつつ、自民党流のドブ板選挙に突入していく。過酷といえば過酷なのだけど、あまりにも日常と離れすぎていておかしい。
応援にかけつける大物議員たち。当時、絶大な人気を誇った小泉首相が来るところが、最大のクライマックス。(小泉は、直接には参院補選に出た元外相・川口順子の応援に来ていて、市議候補の山内さんは、街宣車の屋根に並んで立つことは許されず、同じ車の踊り場下で必死に手を振っている。川口の応援演説を済ませてアッという間に黒塗りの車で去っていく小泉。あとで、2回握手をしてもらった、と興奮して語る山内さん。微笑ましいさと、上下の対比の妙)。

この映画は、ジェンダー的にも面白い題材が盛りだくさん。

山内さんは、選挙の指導者たちから、さゆりさんを、「妻」と呼ばず、「家内」と言うように、と指導される。
この「家内」vs「妻」については、映画の中で何度も出てくる。山内さんの友人たちは、「今どき「家内」なんて、女は家の奥にいる、という発想だ」と呆れるのだが、選挙のプロは、「「妻」なんて、選挙の世界では変だ」と話す。
妻を「家内」と呼ぶことに違和感がある人間が、「家内」と呼ぶのが当然だという風土に入り込む、そんな一種のガリバー旅行記・フシギの国のアリス的な面白さが、この映画にはある。。
(「家内」と呼ぶのは、家内は「おっかない」と笑いをとるためだ、という説も紹介され、後で実際に市議がこのダジャレで演説会で笑いを取っていた。絶句・・)。

山内さんの妻・さゆりさんも、選挙期間中は、仕事を休み(有給休暇)、応援する。慣れない選挙カーに乗り、頭を下げて回るのだ。
その日の運動を終えて、車で帰宅する中での二人の会話が、またいい。

選挙を仕切る人たちに、「仕事をやめろと、言われた」とこぼす妻。
落選したときのことを考えると、とても仕事は辞められない。話しているうちに、さゆりさんは、「「総理大臣にでもなったら、仕事を辞めます」と言ってやろうかと思ったわよ」、「私の人権はどうなるの?」と激してくる。「人の言うことを気にするな」と、懸命になだめる夫。
・・・何だか自分たちを見ているようだった。
そして、二人が疲れ果てて帰るのは、選挙のために急遽借りた部屋。家具もほとんどなく、ゴミ捨てもままならない狭い部屋の、薄い蒲団で、しばし休む。

そうした、フツーの人が、フシギの世界に入り込んでしまったズレ。自らの意志で入ったはずなのに、見ている側には、何だか彼らが異世界に無理に投げ込まれてしまったような感じを持たされてしまう。苦心しつつも、ひょうひょうとフシギな役割をこなしているような面白さ。
(そういえば、山内さんの所作は、何だかザ・ニュースペーパーの面々が小泉のマネをしているような、コントのようなギクシャクした雰囲気があった)。

そうしたフシギの国に入り込んだ夫婦を、温かく、そして異化しつつ映し出すところが、この映画の素敵なところなのだろう。
ドキュメンタリーというのは、撮影する側とされる側との距離感が、最も肝要なのだと思う。想田和弘監督と、山内和彦さんとは、大学時代の同級生らしい。カメラを感じさせない自然さと、でも、ときに異化する視線もあって、絶妙だった。
(監督と山内さんの対談は、ここここ)。

見終わって、山内さんが今、どうしているのか、とても気になった。
山さんBLOG」によると、5月に市会議員の任期は切れ、立候補せずに、今は主夫をしつつ、全国を映画キャンペーンで回っている様子。
そして、夫婦の間には赤ちゃんが生まれたばかりで、さゆりさんは産休・育休中らしい。
そうした生き方も、映画で垣間見えた山内さん達らしいと納得。

そういうわけで、気分は、チラシにあった永千絵さんのコピーに最も近い。

──支持していない党からの立候補なのに、観ていてなんだか応援したくなったのは、夫婦の人柄!?

今日は一日、ダンナと、もしもどちらかが選挙に出たら・・・、という仮想話で盛り上がった。
(ダンナによれば、私はすぐキレちゃうので、全然ダメらしい。いやー、私だって、「家内」として内助の功をやりますよ・・)。

リベラルでありながら、保守政治のただなかに入り込んでしまった一組の日本の夫婦。懸命で、かつコミカルな雰囲気をもった、面白いドキュメンタリー映画です。

広島では、横川シネマにて、7月27日(金)まで。

B000WSQIEM 選挙
想田和弘
紀伊國屋書店  2007-12-22

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2007/07/07

いただきもの

ありがとうございます。

★千年紀文学の会『千年紀文学叢書6 体験なき「戦争文学」と戦争の記憶』(皓星社

・綾目広治「体験者の「戦争文学」と体験なき「戦争文学」-吉田満「戦艦大和ノ最期」など」
・高良留美子「三島由紀夫・崩壊する自尊心と文体という防壁-『天人五衰』を中心に」

村上春樹〈物語〉の認識システム (MURAKAMI Haruki STUDY BOOKS 7) 村上春樹〈物語〉の認識システム (MURAKAMI Haruki STUDY BOOKS 7)
山根 由美恵


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CD

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    曽根麻矢子: バッハ:ゴルトベルク変奏曲
    最近のお気に入りは、曽根麻矢子さん。「イギリス組曲」や「イタリア協奏曲」も素敵ですが、やはりこの1枚がおすすめ。丁寧な演奏と美しい音質にとても好感がもてます。

  • ヨーヨー・マ -

    ヨーヨー・マ: ヨーヨー・マ ベスト・コレクション
    「リベルタンゴ」やバッハの無伴奏も入っているので、ヨーヨー・マで一枚だけ、となると、やっぱりこれかな。。それぞれのアルバムで聴きたいところですけどね。

  • Yo-Yo Ma with The Amsterdam Baroque Orchestra & Ton Koopman -

    Yo-Yo Ma with The Amsterdam Baroque Orchestra & Ton Koopman: Vivaldi's Cello
    知性と穏やかさの感じられるヨーヨー・マの演奏。これは、よく聴くアルバム・ベスト3の一つです。

  • 春風亭小朝 -

    春風亭小朝: 小朝の夢高座Op.1「牡丹燈籠 ― 御札はがし」
    うまい! 何でこんなにうまいんだろう。落語家につける形容詞じゃないけど、スキのないうまさを堪能できる。もっとCDを出してくれることを切望。

  • のだめオーケストラLIVE!
    のだめオーケストラ・東京都交響楽:

    「のだめオーケストラ」LIVE!

    娘がピアノの練習を嫌がらずやるようになった、ありがたーいCD。2-2の2小節で間違えるバージョンがことのほかお気に入りの様子。クラッシックの入門編として。
  • Best of Bowie(US)
    David Bowie:

    Best of Bowie (Bonus CD)

    とりあえずデヴィッド・ボウイを聴きたい方へ。変遷を手際よくたどるのに好適!
  • Labyrinth
    Original Soundtrack:David Bowie:

    Labyrinth: From The Original Soundtrack Of The Jim Henson Film

    映画「ラビリンス」のサウンドトラック版。音楽的にもなかなかよい。バブバブ言っているのがボウイだと想像すると微笑ましい。
  • バッハ:ブランデンブルグ交響曲5番
    トレバー・ピノック/イングリッシュ・コンサート:

    Bach: Brandenburg Concertos Nos. 4-6; Triple Concerto BWV 1044

    硬質なカシャカシャとした音が、バロックにとても合っていて、気分が落ち着きまする。
  • Karajan Spectacular
    カラヤン:

    Karajan Spectacular

    そうは言っても、「ワルキューレの騎行」は、クナよりもカラヤンをとりたい。
  • ワーグナー:名演集
    クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィル:

    ワーグナー:名演集

    「すばらしい」の一言。夾雑物が何もなく、ワーグナーの音自体が見事に立ち上がってくる。