駒尺喜美さん
駒尺喜美さんが亡くなられていたとのこと。
女性の視点から文学を研究、自ら新たな家族の在り方を追求した元法政大教授の駒尺喜美さんが22日午前10時11分、肝細胞がんのため静岡県伊豆市姫之湯の自宅で死去した。82歳。大阪市出身。葬儀・告別式は近親者で行う。後日、しのぶ会を開く予定。
夏目漱石をはじめ日本文学をフェミニズムの立場から批判的に読み解き、女性学に影響を与えた。実生活では女性解放運動家の小西綾さんと半世紀以上、暮らしと行動を共にし、その関係は封建的な家族制度に疑問を投げ掛ける「友だち家族」として注目された。
法政大退職後は「ライフアーティスト」を名乗り、女性向けの講座などを開催。高齢者が自分らしさを大切にしながら、自然の中で暮らす「友だち村」を2002年に伊豆市に建設、自身も晩年を過ごした。
私がフェミニズム/ジェンダー批評に入る契機となったのが、もう20年近く前、大学院生のときに聴きに行った日本近代文学会のシンポジウムでの駒尺喜美さんの発表でした。駒尺さん以外のパネリストは、岩淵宏子さん、中村三春さんで、本当に勉強になりました。
それまでフェミニズムには多大な関心を持っていたのだけど、それは社会学的なものだと思っていて、専門の日本文学研究とフェミニズムとを結びつけることができるのだ、というのは、目からうろこでした。
駒尺さんの「智恵子抄」論、「行人」論、「夢十夜」論、「暗夜行路」論・・・。
(今からみれば、作中人物と作者との弁別などの甘さはあるにせよ、そんなことは問題にならないぐらい)女性の視点から読み解く手法は、今も多くのヒントを与えてくれます。何より、主張が明確で、文章がわかりやすい!
授業でも駒尺さんの読みを紹介してきて、学生たちから多くの反響がありました。
駒尺さんの著作や講演を通じて、文学の新しい読み方を学んだ人や研究者は多いはず。
『女を装う』に書かれた凛とした生。いちはやくシニアハウスを作り、「友だち村」での生活など、(私は家族社を通じて教えられた)生き方を含めて、本当に魅力的でした。
なお、偲ぶ会は、7月1日(日)13時~15時、伊豆の「友だち村」で開かれるそうです。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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“魔女”が読む源氏物語 駒尺 喜美 家族社 2005-02 by G-Tools |
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