「結婚できない男」
「結婚できない男」(フジテレビ)、終わっちゃいましたねー。
例によって録画組なので、感想が遅いですけど。
今期のドラマの中では、いちばん良かったですね。社会現象にもなっちゃったし、脚本も演出も役者陣も、完成度が高かった。
最終回がグダグダになるドラマが多いのに、最後までしっかり、というか、最終回がこんなにきれいに納まるなんて!
初回からの設定をきれいに使い切った感じ。
とにかく象徴の使い方がうまい。
人そのものを表す「家」(あんなに自分の家に他人をいれたがらない信介を見続けていたからこその最終回!)。信介の内面を示す「音楽」(最初のころの激しいものから、最後は穏やかなものへ、きれいに変化)。信介と夏美がそれぞれ渡っていた人生という橋(平行してかかる橋をそれぞれが渡っていたのが、最終回は一緒に)。
最初の頃は、偏屈な信介の性格を、「あー、あるある。○○さん(先輩や知り合いの名前を代入)にそっくりー!」とみていたぐらい、とてもリアル。こんなはた迷惑だけど愛すべき?変人としての信介を、猫背で顔の表情も巧みに演じていた阿部寛!(油断すると、ときどき好男子・阿部ちゃんの地顔がかいま見えたり・・)。
夏川結衣はじめ主要人物はもちろんよかった。ヘタな役者がいないドラマは、本当に安心して見ていられる。コンビニ店員やレンタル屋の店員にいたるまで、お見事でした。でも、MVPは犬のケンちゃんかも。
説明しすぎないのもよかった。セリフが秀逸、映像や表情でちゃんと伝わってきた。
最終回で、みちるが切れるシーンなども、ありがちのドラマなら、「私と二人きりのときには会話がなかったのに、夏美さんと一緒だと・・・」みたいな心情説明が入るところ。きちんと配置されたプロット(般若心経がわからないということで、年齢差による不釣り合いの自覚を呈示しておいたり)や表情で、ダメ押しの説明をしなくても伝わるのだ。そうした抑えた感じがいいし、逆に、セリフや表情にこめられた意味をくみ取る楽しさがあった。
ともかく週一度、楽しませてもらったドラマが終わり、夏の終わりをしみじみ感じます。
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