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2006/09/25

二人の演劇人

取り組んでこられたジャンルは新旧異なるけれど、憲法9条を守ろうとし続けた、二人の巨きな演劇人が亡くなった。

吉田玉男さん
舞台に登場されただけで、気品と端然とした雰囲気がかもし出された。
簑助さんとお二人並んで人形を遣われるところを、もう二度と拝見できないのですね。

広渡常敏さん東京演劇アンサンブル
ブレヒトと宮沢賢治。私は、この方の芝居で演劇の「異化」作用を教わった。
みのちの星空の下で観た「銀河鉄道の夜」は忘れられないし、「ガリレオ・ガリレイの生涯」も緻密さと温かさが素晴らしかった。

お二人のご冥福をお祈りいたします。

2006/09/23

杉村春子生誕100年記念講演会

Pict0241 杉村春子生誕100年記念講演会

・2006年9月23日(土)13時30分~16時
・広島市青少年センター ホール
・ 第1部:「杉村春子と音楽」水田マリ
      「ミニ・コンサート」川本秀史
 第2部:講演
  「杉村春子の女の一生」戌井市郎(文学座代表)
  「杉村春子の芸を語る」北村和夫(文学座俳優)

広島でこのような催しが行われるのは、杉村さんが広島市出身だから。
(杉村さんも、平幹二朗さんも、広島弁がセリフに出ないように苦労されたというのは有名な話ですよね)。

さて、私は、杉村春子の「女の一生」をナマで見たクチです。とはいえすでに晩年でしたし、「見た」ということに意味があるような、つまり歴史的作品を体験することができたということに尽きるような芝居でした。
だから、私にとっての杉村春子は、舞台俳優としてよりも、「東京物語」「晩春」などの小津作品や、新しいところでは「午後の遺言状」などの、映画女優としての印象の方が正直なところ強いです。それらでは、さすがに達者な、そして映画のなかに無くてはならない強い存在感を示していました。

そして、三島をやっている者としては、杉村さんといえば、「鹿鳴館」に象徴される文学座と三島の蜜月時代と、いわゆる「喜びの琴」事件による三島の文学座脱退の、二つの側面があります。そうしたお話が聞けるのかどうか、楽しみに出かけました。

今朝の中国新聞「天風録」に案内されていたためか、青少年センターは満員。
私は岩崎先生にチケットをいただいて行ったのですが、幕開けに実行委員長として挨拶されたのでビックリ。
戌井市郎さんのお話の聞き手としては、先日の講演(大学図書館職員の研修会)でお目にかかった土屋さん(司書にして、劇団員でもあられる)が登壇され、再びビックリ。

お話の方は、戌井さんのは、45分間のうち30分以上が戦争中の状況。御歳90歳ということだけど、かくしゃくとされていて、昔のことが滔々と出てくるといった感じ。1945年4月の「女の一生」初演のときには、空襲警報が鳴ると芝居を中断して客を外に出し、警報が解除になると、また中断したところから再開する、といった状況だったことや、人間関係のことなど、面白いお話が聞けました。(個人的には、森雅之さんの話がもっと聴きたかった・・)

が、ほとんど文学座前史といった感じで、この調子では三島まではとてもたどりつかないな、と思っていたら、突如話が飛んで、昭和38(1963)年の文学座の危機について。
1960年に中国に「女の一生」を持っていく際に脚本の手直しをしたこと、杉村さんが親中派であったことで、文学座が左傾したと見なされ、思想的な問題で中国公演の不参加者が出た。
そうしたことが機縁となって、63年1月に29名が退座して福田恆存らとともに劇団「雲」を結成。戌井さんは、これを思想問題もあったけど、若い力が「杉村春子劇団」には所属していたくない、もっと力を発揮できる場がほしいと思って出て行ったのだ、と世代の問題として解釈していました。
そして5月には、久保田万太郎が急逝。すでに森本薫も岸田国士も亡くなっており、三島は、文学座再建のために先頭に立って奮闘した。三島にとっては、福田一派に裏切られた、という思いが強かっただろうし、芝居らしい芝居を作るために、自分が支えねばと思ったのだろう。

そうしたなかで、「喜びの琴」事件が起きた。
執筆前に、三島さんが「文学座には共産党は何人いるの?」と聞くので、妙なことを尋ねるなと思い、「はっきりとはわからない」と答えると、名指しで「この人はどうだ?あの人はどうだ?」と尋ねてくる。どうも妙だと思っていた。
松川裁判の冤罪に材をとって作られた「喜びの琴」は、三島さんの芝居にしては辛口で、掃除婦のおばさんが一人出るだけで女性がほとんど出ない、明るいものが求められる正月にやるにはふさわしくなく思われた。NHKもこれでは中継できないと言ってきた。そこで、三島さんに、上演の延期と脚本の直しを申し入れた-断ってくるだろうと思いつつ-ところ、案の定、三島さんは直しを断り、そして、文学座は「思想上の理由で」上演「中止」したという一筆を入れさせた。そして、14名とともに退座。

・・といった風に、戌井さんは話しておられました。残った側、上演延期/中止を申し入れた側としては、なかなか言いにくいでしょうね。
(このあたりのことは、北見治一『回想の文学座』に詳しい)。三島にとっても、この事件は相当堪えたでしょうね。自分が背負っていくのだと力を入れていたところから、彼にしてみれば裏切られたのだから。彼のその後の行動や思想の動きにも、大きな影響を及ぼした事件であることは間違いないだろう。
橋本治は、三島にとっての杉村春子は「演劇界での母」に当たる存在で、その決別の大きさを考察していたけど、たしかに「サド侯爵夫人」のモントルイユ夫人が杉村さんで演じられた可能性を想像してみると、とてもスリリングだ。

「三島由紀夫」とはなにものだったのか「三島由紀夫」とはなにものだったのか
橋本 治

by G-Tools

戌井さんは、二つの件とも、杉村さんは旅公演中だったりして直接は関わっていないが、杉村が反対したから上演しなかった、という風にとらえられ、矢面に立たされたと言っていた。そうした状況の中にあっても、杉村さんは、何があっても前へ前へ進もうとする姿勢を見せていた、と強調していました。
聞き手の土屋さんが、新藤兼人さんの本に、分裂等を経ても「杉村さんは決して人の悪口は言わなかった」と書いておられますと水を向けると、戌井さんは「いや、悪口を言わないということはない」と受けていたけど、三島のことは、その後どう思っていたのだろう。

さて、北村和夫さんの方は、開口一番、杉村さんのことを思うだけで涙が出てしまう、本当に杉村さんについての話はキリがない、と、早くも涙ぐんでいました。
そして、「女房も子どももいる身でありながら、・・・・本当は杉村さんと結婚したかった!」と、冗談とも本気だともつかないことを真顔で、大きな声で激白。

その後は、「女の一生」の朗読やビデオ上映を交えてのお話。
「女の一生」に最初に共演したときには、杉村さんが45歳で北村さんは弱冠24歳。それから50年近く共演し、怒られ続けの人生だったとか。北村さんがされる杉村さんの口真似が、本当にソックリ。長く共に過ごしてきた時間を感じさせられた。
ビデオに映った二人はとても若く、新鮮。朗読の方は、ちょうどエピローグの部分だったこともあり、年季の入った北村さんの声にしみじみとした情感が。北村さんも、もう80歳なのですね。貴重な証言を聞かせていただきました。
杉村さんに最後に言われた言葉は、「あなた、死んだらおしまいよ。死ぬまでやりなさいよ」、だったとか。希有の女優ですね。

それにしても、やはりその後の杉村春子と三島由紀夫の関係が気になる。
大会実行委員長とインタビューの聞き手が知り合いだったのだもの。強引に頼み込んで、戌井さんや北村さんにお会いすればよかったかなあ、、とちょっと後悔の帰り道でした。

杉村春子 女優として、女として 杉村春子 女優として、女として
中丸 美繪


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女の一生―杉村春子の生涯 女の一生―杉村春子の生涯
新藤 兼人


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〔案内〕公共図書室から一時消えたジェンダー関連本150冊展

ひろしま女性学研究所より案内が届きました。

---

公共図書室から一時消えたジェンダー関連本150冊展
 -しのび寄るジェンダーバッシング-
 -なぜ起きた!?  福井発・焚書坑儒事件-

福井県生活学習館(男女共同参画・生涯学習の拠点)は、今年3月、福井県男女共同参画推進員の1人である男性が『内容が過激で不適切』とするリストを作成し排除を求めたのを受け、書架から153冊を撤去した。それはまさしくフェミニズム・ジェンダー関連本だった。

ただちにその撤去対象になった本の著者である上野千鶴子さん(東京大学教授)らは情報公開、住民監査請求などで抗議行動を展開。県は真っ黒に塗りつぶされたリストを提出。その対応に抗して上野さんらは提訴を予定していたが、県が急遽全面公開したため提訴を取りやめ、8月26日には抗議集会を開催した。

推進員は更に37冊の撤去を求めていたことも判明。抗議運動がなければ190冊のジェンダー関連本が、公共図書室から消えることになっていたわけだ。しかしこれは福井県だけの問題ではないだろう。

今回はそのバックラッシュ派が消そうとした本を展示し、なぜ彼らはこの本を『危険』としたのか、その背景には何があるのか、そして私たちはこの事件から何を汲み取っていけばいいのか、じっくりと本を手にとって考えていただければ幸いです。 

展示場所:ぎゃらりぃ茶房f
展示期間:9月28日(木)~10月17日(火)
展示時間:11:00―19:00

  展示期間中「今だからこそ読んでおきたいフェミニズム・ジェンダー関連本」を半額で販売いたします 。

---

※この件に関しては⇒⇒みどりの一期一会  が詳細

公共施設が、何やってるんだろ。
バックラッシュ勢力を推進員に置いたことじたい驚きだけど、声の大きい人に思考停止状態で追随しちゃう体質、男女共同参画の拠点としての気概のかけらもない人間がその職に張り付けられていること、しかも館長の留守を狙って無断で撤去してしまうという姑息さに、とにかく脱力しちゃいます。。

「ジェンダー」の危機を超える!―徹底討論!バックラッシュ 「ジェンダー」の危機を超える!―徹底討論!バックラッシュ
若桑 みどり 皆川 満寿美 加藤 秀一

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・・・と紹介したあと、しばしひろしま女性学研究所のホームページを覗いていたら、なんと、たかおさん、大学院に入られるのですね!!
おめでとうございます!
RAA(特殊慰安施設協会)の研究がまとまること、期待してます!

2006/09/22

「潮騒」一挙5本!

観光地映画祭 in とば「愛と美の鳥羽・潮騒フェスティバル2006」

うわー、すごい企画ですね。行きたい!
実は今やっているのが「潮騒」。第1作と第3作は、未ソフト化作品なので特に見たいなあ。
ロケ地巡りも、案内してもらえるなんて魅力的。
でも、しっかり仕事が入ってて無理だ~。

映画フェスティバル:「恋人の聖地」PR 「潮騒」全5作上映--鳥羽 /三重  〔毎日2006.9.1〕

新パソコン

自宅のパソコンを買い換えました。
しばらく調子が悪かったのだけど、(もう終わっちゃいましたが)今週始めに講演があるし、月末に〆切があるし、買い換えたりしてるヒマがないから・・ていうので、だましだまし使っていました。が、ついに限界。
起動に5分以上かかる上に、メーラーが使えない。色々と手は打ったもののダメ。しかたなくWebMailで送受信だけはやってたのだけど、古いメールがないしアドレス帳も作っていなかったから、たとえば自宅から学生にメールを送る必要ができても、メアドがわからず送れない・・。ほかにも、USBメモリを認識しないなど不具合が多くなったため、致命傷にならないうちに買い換え。買いに行く時間もないので、ネット注文。

設定やお引っ越しに、まる一日つぶれました。(こんなこと、やってる時じゃないのに~)。
昔は新しいパソコンが来たらそれだけで嬉しかったけど、買い換えも何台か経験すると、面倒くささが先に立つ。移行しなきゃならないデータの種類も量も増えてるし、忘れ物がないようにと神経使うし・・。
とはいえ、やはり新パソコンがサクサク動くようになると、気持ちいいものです!

Rboard 私の場合には、最小限の設定を済ませ、最初につないでいた付属キーボードを外して、親指シフトキーボードをつなげ、キチンと使えることが確認できた時点で、ああ、これでようやくオマエもアタシのパソコンになったねー、これからよろしく頼むよ~!という気分かな。
(本当は、Windows Vistaが出るまで前のをもたせるつもりだったのだけど、でもRboardが新OSに対応してくれるかわからないし、結果的にはこの時期に買ってよかったと思おう。みちるちゃんじゃないけど、ポジティブ・シンキング~。とはいえ、できるだけ長くこのキーボードを使い続けていきたいので、REUDOさん、ぜひぜひ対応をよろしくお願いします!)

そういうわけで、無事、講演準備も新パソコンでできました。
恥ずかしながら、今回、初めてPowerPointを使って人前でしゃべりましたが、何とかうまくいきました。相変わらず、話し終えた後は一日ウツ状態になるのだけど、すでに浮上。
(今回のお仕事は、県内の大学図書館職員の方々の研修会でのお話。「近代文学研究と図書館・文学館」などといふタイトルにて。けっこう調べていると面白かった。)

ハードディスク抹消ソフトメーカーの電話サポートの対応があまりに悪くて、怒った(というかびっくりした。あんなのがお客の対応をしていいのか!と心底あきれる。欲しい辞書ソフトもあったけど、もう絶対買わないぞ。J○ngle。)りした件もあるのだけど、(最初は、そのことを書くためにこのエントリを起こしたのだけど)、ま、もう終わったことはいいや。不毛なことは忘れて、新パソコンで気分を換えて書かなきゃね。

2006/09/21

「結婚できない男」

結婚できない男」(フジテレビ)、終わっちゃいましたねー。
例によって録画組なので、感想が遅いですけど。
今期のドラマの中では、いちばん良かったですね。社会現象にもなっちゃったし、脚本も演出も役者陣も、完成度が高かった。

最終回がグダグダになるドラマが多いのに、最後までしっかり、というか、最終回がこんなにきれいに納まるなんて!
初回からの設定をきれいに使い切った感じ。

とにかく象徴の使い方がうまい。
人そのものを表す「家」(あんなに自分の家に他人をいれたがらない信介を見続けていたからこその最終回!)。信介の内面を示す「音楽」(最初のころの激しいものから、最後は穏やかなものへ、きれいに変化)。信介と夏美がそれぞれ渡っていた人生という橋(平行してかかる橋をそれぞれが渡っていたのが、最終回は一緒に)。

最初の頃は、偏屈な信介の性格を、「あー、あるある。○○さん(先輩や知り合いの名前を代入)にそっくりー!」とみていたぐらい、とてもリアル。こんなはた迷惑だけど愛すべき?変人としての信介を、猫背で顔の表情も巧みに演じていた阿部寛!(油断すると、ときどき好男子・阿部ちゃんの地顔がかいま見えたり・・)。
夏川結衣はじめ主要人物はもちろんよかった。ヘタな役者がいないドラマは、本当に安心して見ていられる。コンビニ店員やレンタル屋の店員にいたるまで、お見事でした。でも、MVPは犬のケンちゃんかも。

説明しすぎないのもよかった。セリフが秀逸、映像や表情でちゃんと伝わってきた。
最終回で、みちるが切れるシーンなども、ありがちのドラマなら、「私と二人きりのときには会話がなかったのに、夏美さんと一緒だと・・・」みたいな心情説明が入るところ。きちんと配置されたプロット(般若心経がわからないということで、年齢差による不釣り合いの自覚を呈示しておいたり)や表情で、ダメ押しの説明をしなくても伝わるのだ。そうした抑えた感じがいいし、逆に、セリフや表情にこめられた意味をくみ取る楽しさがあった。

ともかく週一度、楽しませてもらったドラマが終わり、夏の終わりをしみじみ感じます。

結婚できない男 DVD-BOX 結婚できない男 DVD-BOX
阿部寛 夏川結衣 国仲涼子

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2006/09/07

案内:第33回広島近代文学研究会

・日時:2006年9月9日(土) 14時~17時
・場所: 広島大学教育学研究科 2階第3・4会議室     

・研究発表
(1)夏目漱石「坊つちやん」とスティーブンソン「ファレサアの浜」
   広島大学大学院文学研究科院生  レオン・ユット・モイ氏
(2)村上春樹「トニー滝谷」論
   鈴峯女子短期大学非常勤講師   山根由美恵氏

2006/09/06

十八代目中村勘三郎襲名披露「義経千本桜」

Chirashi_l ・2006年9月6日 夜の部
・呉市文化ホール
・「義経千本桜」木の実、小金吾討死、すし屋
・いがみの権太(勘九郎改め 中村勘三郎)、主馬小金吾(中村勘太郎 変更→中村七之助)、お里(中村七之助)、若葉の内侍(坂東新悟)、猪熊大之進(片岡亀蔵)、梶原景時(片岡市蔵)、弥左衛門(坂東弥十郎)、弥助実は三位中将維盛(中村扇雀)
松竹公式ページ

久々に歌舞伎を見るため、呉に行ってきました。
急いで行ったものの、最初の「口上」には間に合わず、残念。

勘三郎さんは、赤っ面系がよく合う。
ただ、本公演では七之助が目立っていた。勘太郎がケガ療養中で休演のため、小金吾とお里の二役をこなし、ほぼ出ずっぱり。連日昼夜公演をこなし、毎日移動の地方公演は大変だろう。若いからできること。
七之助をナマで見るのは初めてなのだけど、細面だしキャピキャピした娘役が合っていた。女形でまた見たい。

さて、娘は初の歌舞伎鑑賞。
いちおう車の中で簡単なあらすじは話しておいたし、イヤホンガイドも与えたのだけど、どこまでわかっていたのかは疑問。幕間で、「義経なんとか、という題なのに、なんで義経が出てこんの?」と尋ねられた。ホントにね。

でもまあ、歌舞伎がどんなものかはわかったようす。幕開きの茶屋の場面で子役が出てくると、「あっ、子ども」と思わずつぶやき、帰宅後は、高くて妙に間延びした子役のセリフ回しのマネをしていた。それなりに面白かったのかな。

2006/09/04

「ゆれる」

邦画づいてますが、早いうちに見たくて、行ってきました。映画「ゆれる」。

・原案・監督・脚本:西川美和
・出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子、木村祐一、ピエール瀧、田口トモロヲ、蟹江敬三

完成度の高い作品。

田舎で家業を継いだ兄と、東京に出て成功した弟。
母親の法事で久々に戻ってきた弟の前に、兄のガソリンスタンドで働くかつての恋人が現れ、弟は彼女を抱く。翌日、3人で向かった溪谷の吊り橋から、兄と共にいた彼女が転落して死亡する。そして始まる裁判のなかで・・・。

事件と裁判の過程で、まじめで穏やかだったはずの兄の内なる狂気や怒りが表面化していく。ように見えるのだが、実は明らかになっていくのは、弟が健忘してしまっていた過去の記憶、体験や人間関係や感覚であった。
この映画の大きなモチーフの一つは、閉鎖的な土地や弟と父との確執、兄弟の微妙な関係によって変化していく人の記憶の不思議さ、その歪み(喪失・空白と回復の様)であり、観ていてゾクゾクした。極めてリアルな作品・映像でありながら、人の感覚の頼りなさと確かさといったマジカルなところも鮮やかに描きえていて、凄味がある。

場面としては、事故前夜、智恵子と関係をもった猛が古い家に帰宅して、後ろ姿を見せながら洗濯物を畳んでいる兄の稔と会話するところが印象的だった。平静に、お互いに腹の探り合いをしているこの場面は、あとで大きな意味をもって回想されることになるのだが、オダギリ・ジョー、香川照之の油の乗り切った二人の男優の、静かな対峙がいい。

結末も秀逸。バスを使った技法がにくい。(あのあと、兄は残っていたのだろうか?)
シネツイン1にて。10月6日まで。

*  智恵子の母親役で、青い鳥の天光眞弓さんが出ていた。どこかで見た人だと思つつ思い出せなかったのが、最後のクレジットによって気付いたとたん、名古屋や青山や、観た空間・時代を含めて舞台の記憶たちが蘇ってきた。。

*  西川美和監督は、広島出身なのですね。(最近、広島は、若手の有望な映画監督を輩出!)
その西川監督の第一作「蛇イチゴ」が、同じくシネツイン1にて、9月16日~22日上映。(21:10~23:05  のみ。800円!)

---
映画館で西川監督自らが小説化した本を購入。
映画で観客が想像し補うしかなかった内面や状況が丁寧に描かれ、それが自分の心のヒダに何度も触れる。とくに智恵子の戦略に、あの場面はそうだったのかと深く納得させられた。
小説の技法としてはいま一つのところもあるけれど、(というか、監督が映画の演出プランを役者やスタッフに説明しているのを傍らで聞かせてもらっている感じ)、これまた佳作。

4591093034 ゆれる
西川 美和
ポプラ社  2006-06

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2006/09/03

勉強会2日目

院生の勉強会2日目。
今日も4名。来週末の研究会のプレ発表から、修論のテーマ発表、修論中間報告、作品分析、とそれぞれの課題に取り組んでの発表。暑いなか、お疲れさま~。

プラス、読書会。
私がリクエストして開いてもらったのだけど、ちょっとこちらの準備不足で、反省する。
このところ、新旧の庄野潤三作品に目を通してきて、大きな流れ自体は見えてきたのだけど、「プールサイド小景」をどう読むか、作品自体について、もう一つ展望がひらけない。
でも、ともかく学生さんたちの感想を聞けてよかった。もう少し考えてみよう。

4101139016 プールサイド小景・静物
庄野 潤三
新潮社  1965-02

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2006/09/02

映画「ハチミツとクローバー」

公開終了前にかけこみで、夏休み終了直前の娘と一緒に、映画「ハチミツとクローバー」を観てきました。(8月31日、シネツイン1)。

・監督:高田雅博
・脚本:河原雅彦、高田雅博
・櫻井翔(竹本祐太)、蒼井優(花本はぐみ)、伊勢谷友介(森田忍)、加瀬亮 (真山巧)、関めぐみ(山田あゆみ)、堺雅人(花本修司)

「青春」ですね。
芸術表現を模索しながらそれぞれの恋にくったくしている5人の美大生と、それを見守る教師。絵に描いたような青春模様だけど、よかった。
キラキラして、私は永遠に失ってしまったけど、かつて確かにそこに居たのだ、といった感じ。(でももう、私は「花本先生」の側なんですね。堺雅人みたく癒しの微笑みは浮かべられないけど・・。文学研究というのも、実学ではないし、一種の美学ではあるので、群像がとても身近だった)。

娘も楽しんだようです。あやつも、いつの日か(10年後ぐらいだ)、あんな青春時代を過ごすことになるんだなあ。私はそれまで生きていられるのだろうか・・。

天才少女に恋してしまい、恋敵も強烈なオーラをもって世に出でんとしている先輩。
しかし自分は未だ未来も見えず、、そんなフツーの青年・竹本の恋をめぐる屈託、凡人であることの悩みが、よく描けていたと思う。(もちろん、竹本だけではなく、はぐ、森田、真山、山田、役者それぞれがはまっていた。)

原作マンガは、予餞会のときに卒業生がプレゼントしてくれて、第1巻だけは読みました。

ハチミツとクローバー (2) ハチミツとクローバー (2)
羽海野 チカ

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今回、映画館で第2巻を購入(サロンシネマ/シネツインの売り上げに貢献せねば・・。しかし、娘に取られてしまい、私は未読であります(^^;;))。
(いま第9巻まで出ているようですね。)
なので原作を読み切っているわけではないし比較はしきれないけど、でも、原作の世界観を生かしつつ、映画独自の味わいもあってとてもよかったと思う。ただ、ラストがちょっと安直だったかな。(最後は、はぐが竹本に声をかけなくては収まりがつかなかったのはわかるのだけど。)
でも、可憐な青春映画でした。

2006/09/01

新学期と折返点

娘は昨日で夏休み終了。今日から二学期。
給食開始(=午後の授業)まであとしばらくあり、やり繰り算段の日が始まる。
今日は実家に頼んで、夕方まで実家で預かっていてもらった。
3月まで預けることのできていた学童保育のありがたみをしみじみと感じる。まあ、そのうち、一人で置いても大丈夫になるのだろうけど、あやつは一人で置いておくと何もしないからなあ・・。

親の方は、夏休みの折り返し。
今日は近代の院生たちの勉強会。明後日も。
昼前から夕方までかけて、4名が発表・質疑。(明後日も4名が発表の予定。それと私のリクエストで、読書会を一冊:庄野潤三の「プールサイド小景」。)
彼らが自主的に企画した会で、頼もしいし、楽しい。

私が院生の頃は、研究会と読書会を一週交代で行なっていた。研究会は大学院生の研究発表の場で、読書会は学部生のリクエストで行い、学部生は有志のみの参加だった。
現在は学部生全員がどこかの研究会に所属する仕組みで、研究会は実質的には学部生のもので、院生はオブザーバーという立場。
大学院生の純粋な研究会というのがなかったので、こうした勉強の場が発足したのはけっこうなこと。
若人よ、ともに学ばん。
(・・・それにしても、最近いつも昼まで寝てるから久々に早起き(?て時間じゃないけど)したと話してる学生がちらほら。羨ましい。こちとら社会人になってから、とくに子持ちになってからは、ひたすらパンクチュアルな朝型生活であります。)

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    最近のお気に入りは、曽根麻矢子さん。「イギリス組曲」や「イタリア協奏曲」も素敵ですが、やはりこの1枚がおすすめ。丁寧な演奏と美しい音質にとても好感がもてます。

  • ヨーヨー・マ -

    ヨーヨー・マ: ヨーヨー・マ ベスト・コレクション
    「リベルタンゴ」やバッハの無伴奏も入っているので、ヨーヨー・マで一枚だけ、となると、やっぱりこれかな。。それぞれのアルバムで聴きたいところですけどね。

  • Yo-Yo Ma with The Amsterdam Baroque Orchestra & Ton Koopman -

    Yo-Yo Ma with The Amsterdam Baroque Orchestra & Ton Koopman: Vivaldi's Cello
    知性と穏やかさの感じられるヨーヨー・マの演奏。これは、よく聴くアルバム・ベスト3の一つです。

  • 春風亭小朝 -

    春風亭小朝: 小朝の夢高座Op.1「牡丹燈籠 ― 御札はがし」
    うまい! 何でこんなにうまいんだろう。落語家につける形容詞じゃないけど、スキのないうまさを堪能できる。もっとCDを出してくれることを切望。

  • のだめオーケストラLIVE!
    のだめオーケストラ・東京都交響楽:

    「のだめオーケストラ」LIVE!

    娘がピアノの練習を嫌がらずやるようになった、ありがたーいCD。2-2の2小節で間違えるバージョンがことのほかお気に入りの様子。クラッシックの入門編として。
  • Best of Bowie(US)
    David Bowie:

    Best of Bowie (Bonus CD)

    とりあえずデヴィッド・ボウイを聴きたい方へ。変遷を手際よくたどるのに好適!
  • Labyrinth
    Original Soundtrack:David Bowie:

    Labyrinth: From The Original Soundtrack Of The Jim Henson Film

    映画「ラビリンス」のサウンドトラック版。音楽的にもなかなかよい。バブバブ言っているのがボウイだと想像すると微笑ましい。
  • バッハ:ブランデンブルグ交響曲5番
    トレバー・ピノック/イングリッシュ・コンサート:

    Bach: Brandenburg Concertos Nos. 4-6; Triple Concerto BWV 1044

    硬質なカシャカシャとした音が、バロックにとても合っていて、気分が落ち着きまする。
  • Karajan Spectacular
    カラヤン:

    Karajan Spectacular

    そうは言っても、「ワルキューレの騎行」は、クナよりもカラヤンをとりたい。
  • ワーグナー:名演集
    クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィル:

    ワーグナー:名演集

    「すばらしい」の一言。夾雑物が何もなく、ワーグナーの音自体が見事に立ち上がってくる。