金田明夫の絵本ひとり語り「あらしのよるに」
いやあ、すごいものを見せてもらいました。
きむらゆういち・作、あべ弘士・絵の大人気絵本シリーズ「あらしのよるに」を、演劇集団円の金田明夫さんがひとり語り。
オオカミのガブとヤギのメイ。本来、食べる-食べられる関係にある両者が、「あらしのよる」の偶然の出会いから、無二のともだちに。
しかし、そんな関係を信じられないヤギやオオカミの仲間から迫害され、森を追われ・・・。
1時間20分の公演で、シリーズすべて語る。
単なる読み聞かせ・朗読ではない。チラシには「絵本落語といった雰囲気で、あべ弘士さんの絵と生演奏が支えます」とあったけど、読み聞かせ・落語・演劇のすべてが混在。
ヤギのメイ(ちょっと高くてブリッ子的な声。聞きようによっては落語の丁稚風?)と、オオカミのガブ(低くて田中邦衛風の声。~でやんす!)、そして地の語り(これは金田さん本来の声)と、3種類の声色を使い分け、あるときは座って朗読し、あるときは立って演じ、あるときは歌い、子どもたちを飽きさせずに最後まで演じたのはすごい、としか言いようがない。
至芸ですね。
スクリーンに写された原画も、小森昭宏さんの音楽もとてもよかった。
会場で絵本を販売しているのを見て、娘が最新刊の「まんげつのよるに」を欲しがったので買ったのだけど、販売している方から、今日の公演では「まんげつのよるに」も含まれるというニュースを聞く。
チラシにはシリーズ6巻までを語る、とあったのだけど、最新作第7巻まで入っての公演は、広島が初演だとのこと。
公演後、金田さんは、最初に始めた9年前には、絵本も2巻しか出ていなくて、それが段々増えていったということ、そして、あべ弘士さんの絵を使う許可が下りているのはこの自分の公演だけなのだということを話しておられました。
そして、読む人の数だけ「あらしのよるに」はあるのだから、みんな声を出して読んでね、とも。
おそらく絵本の方は、これで完結でしょうけど、これからもガブとメイの物語は、金田さんの公演や、家庭や保育園や学校などのなかで、ずっとずっと語り継がれていくのでしょうね。
帰り道、ダンナも娘も私も、語尾が「~でやんす」と、ガブになっておりましたでやんす。
⇒子どもコミュニティネットひろしまの「あらしのよるに」のページ
あらしのよるに あべ 弘士 講談社 1994-10 by G-Tools |
記念すべき第一巻。すべてはここから始まった「あらしのよるに」。
やはりすごい作品ですよね。短大の児童文学の授業でも、読み聞かせするのは大変だけど、学生たちに好評でした。
娘が保育園の年長さんの頃だったと思うけど、図書館で1巻から6巻まで借りてきて、一挙に読み聞かせしたことを思い出しましたよ。親も子も、途中でやめられないの。
でも、娘はまったく、そのことを覚えていなかった。ガックリでやんす。
学校の給食の時間に、放送部の6年生のお姉さんが、毎日ちょっとずつ朗読してくれているそうで、今日の公演の途中でも、話を聞きながら「そうそうそう」と頷いておりました。
まんげつのよるに 木村 裕一 あべ 弘士 講談社 2005-11-02 by G-Tools |
昨年末刊行の最新作「まんげつのよるに」。
正直なところ、発売後すぐに読んだときには、第6巻「ふぶきのあした」の、あの悲しくも純粋な別れを壊してしまう、安易な大団円だと、かなーり違和感があった。「ふぶきのあした」でシリーズ完結だとずっと思っていたし、清冽なみごとな終わり方だと感服していたから。
だけど、今日、購入して改めて読み直し、また金田さんの語りを聞いて、やはりこれは必要な話なのだと実感しました。
第一巻の「あらしのよるに」が奇跡をよぶキーワードとなっているのもイイ!
きむら式 童話のつくり方 木村 裕一 講談社 2004-03-21 by G-Tools |
きむらさんの絵本には、あかちゃん時代の仕掛け絵本などでもたいそうお世話になってきましたが、もうちょっと大人向けで面白かったのはコレ。
「きむら式」いいですなあ。
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