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2006/01/16

ワルキューレの思い出

「白夜の女騎士(ワルキューレ)」の野田秀樹・蜷川幸雄・松本潤は、(無理やりな連想ではあるけれども)うっすらと三島つながりでもある。

蜷川は、言うまでもなく、三島の『近代能楽集』を何度も演出していて、とくに「卒塔婆小町」は(新潮カセット文庫で聞いた平幹二朗版も、何度か実見した壌晴彦版でも)管見では最高の舞台だと思う。三島の世界を理解し舞台上に表現する希有の力を持った演出家だ。
松本も三島を好んで読んでいることを数度語っているらしい(Siestaさんに教えていただいた)。多面体・三島のどこに惹かれるか、三島好きにも色々なタイプがあるので一概には言えないけれども、『春の雪』『近代能楽集』『不道徳教育講座』を読んでいるという感性は面白いし、信用できそう。

そして野田秀樹。
三島没後30年のときの『文学界』特集号のエッセイで、三島を強く意識していたことを告白し、東大法学部に進学したのも三島が行ったからだとまで語っていた。野田の初期の戯曲集には巻末に自作年譜(著者略歴)がついており、そこに登場する文学者は、三島と坂口安吾だけ。ということが以前から気にはなっていたものの、それほどまでに野田が三島を読んでいたこと、三島を媒介にして作家の生・死と創作の関係を考えていたとは思いもよらなかった。
役者の肉体を酷使する野田演劇は、台詞重視の三島演劇とは一見相反するようではあるけれども、終幕近くの長ゼリフのリリシズムや時空間の扱い方など、意外に根底で通じているように思える。

・・そういうわけで、昨日は劇中にかかるワーグナーのワルキューレの騎行をエンドレスで流しながら読物していたのだが、久々に聞いているうちに、音楽の喚起力はすごい、「白夜の女騎士(ワルキューレ)」の初演の頃のことを次から次へと思い出してしまって、収拾がつかなくなってきた。(歳でござりまするなあ・・)。

「白夜の女騎士」の初演は1985年2月。
もう20年以上前、1月初旬に修士論文を提出したあとのこと。修論の準備中に、終わったあとの楽しみとして紀伊国屋ホールのチケットを取っていたが、そのあとになって遊眠社初の広島公演が決定し、2回見た。

広島公演の数日前に遊眠社の事務所から突然自宅に電話がかかり、広島公演のチケットがはけていないからぜひ知り合いに勧めてほしい、ということだった。劇団の観客リストの中の広島在住者に協力依頼したようだ。当時の遊眠社は、東京では飛ぶ鳥落とす勢いで、その後ほどではないにせよ、チケットも簡単に入手できるわけではなかったから、広島の観客が少ないということに驚いた。
また、ここで客が少なければ次回以降の広島公演がなくなってしまうという恐れもあって、私は友人や、研究室の芝居好きそうな人たちにかたっぱしから声をかけた。(私だけではなく、数多くはなかっただろうけど広島の遊眠社好きが力を結集したのだろう、結果としてはそこそこの数の観客が入っていた)。

当時まったくつきあいはなく単に同じ研究室の一学年後輩だった今のダンナにも、勧誘の電話をした記憶がある。どこかの劇場だか美術館だか映画館だかで見かけて、「文化好き」なんだろうと思ったからだ。「行けたら行きます」という返事だったが、彼が当時の彼女を連れて会場の東区民文化センターホールに来たのを見かけて、律儀な人だなあと思ったように覚えている。(我々がひょんなことからつきあうようになったのは、さらに2年以上たってからのことだ。(遠い目))
そのダンナも、今度の蜷川版「白夜の女騎士」を見たいらしい。一緒に行ければいいけど出張時期が違ってスケジュール的に無理ぽいので(ダンナも私も出張したら、昼はお仕事、夜は芝居か映画か落語に行くのであります)、別々の日程で見ることになりそう。・・て、チケット取れたらの話だけど。そういうわけで、今わが家では、チケット取りについて検討中。

さて、「白夜の女騎士」は夢の遊眠社がメジャー化しさらに飛躍するきっかけとなった「石舞台星変化(ストーンヘンジ)三部作」の最初の作品だ。
第二作「彗星の使者(ジークフリート)」は同1985年7月につくば万博会場にて(工藤ちゃんと弟クンと一緒に行ったなあ。たしか野田さんが舞台でケガをして交代したのがこの公演だったはずだけど、私たちが見たのはケガの前)、第三作「宇宙(ワルハラ)蒸発」は12月に広島県民文化センターで見た。遊眠社の広島公演はこれが最後だったと思う。(これ以降は、東京や大阪・芦屋・京都・福岡へ鈍行で遠征。)

神やコビト・巨人入り混じる幻想的な時空間のなかで、ヒトが飛ぶキセキが発現する。
以下、『写真集 夢の遊眠社』から「白夜の女騎士」のあらすじをば抜粋。(  )には初演の役者名を入れておきまする。

セリ市にて。コビト達は“ペニスの商人”(松澤一之)から、新製品ヒトを買おうとする。
巨人にも、ヒトを売りつけようとする“ペニスの商人”。ヒトをめぐり、神と巨人とコビトの争奪戦が始まる。
空飛ぶコツを忘れた棒高飛びの天才少年“空飛びサスケ”(野田秀樹)のもとに、アマチュア無線機と共に届けられた“おまけ”(竹下明子)。
富士山登山口に不時着した“ライト兄弟”(佐戸井けん太、羽場裕一)は、空飛ぶ訓練に励む“サスケ”を逮捕しようとする。
窮地を救ってくれた“その後の信長”(段田安則)は、“サスケ”のハム仲間だった。空飛ぶコツを求め、二人は富士山に登り始める。
写真の神様と呼ばれる“大写真家”(上杉祥三)の登場。彼もまた、空飛ぶ少年を追って富士山麓へ。
登山する“サスケ”の前に再び現れた“おまけ”は、“その後の信長”の妹だった。
“サスケ”と“その後の信長”は、登るにつれ、深い霧の中で、高山病の不思議な夢を見始める。
神と巨人は契りを結び、ヒトを捕まえようと山狩りを行なう。
追われるヒトをかくまったガラスの一族“ワルキューレ”(円城寺亜矢、川俣しのぶ、松浦佐知子)は、“サスケ”を空へ逃がそうとする。
富士の火口が開く。7万度にたぎる巨大なるつぼから現れる“ワルキューレ”。
炎の中に追いつめられ、まさかのとも“サスケ”と最後の交信をする“その後の信長”。
ましろき富士の頂きより、少年はついに、空へと舞い上がる。

書いていてもわくわくする。レトロなアニメソングが流れるのを座席で聞きながら、開演を待っている昔に戻ったみたいだ。
「わからないけど面白い」というのが当時の遊眠社の評だったけど、舞台せましと跳び駆け回る役者の動き・スピード感、交わらぬはずの二つの世界の交差して作られる劇的世界、終盤の長ゼリフなど硬質のことばが形作る世界の詩情。本当に若く勢いがあって破天荒で、言葉あそびの面白さと、いくつかの筋が錯綜するけど決して混乱ではない、混沌の中から物語が生成していく快感。
新しい演劇が作られている現場に立ち会っている実感がたしかにあった。やはり一つの時代を画した演劇の、まさに渦中の作品だったのだ。

武装した乙女であるワル!、キュー、レ?の三人の衣裳は、北欧神話風のかわいらしさ。コビトや巨人たちの扮装も独特。対してサスケはフツーの長袖Tシャツの服装で、こちら側とあちら側とが対比されていただけど、今回はどうなるのだろうか。

松潤が演じるのは、初演で野田秀樹が演じていた空飛ぶサスケ。飛び、駆け回っていたかと思うと、急に止まって寄り目で早口のセリフを言っている野田さんの姿が思い起こされるけど、あのときのサスケは完全に少年だった。(野田秀樹といえば、「ランドセルを背負わせれば日本一」の山田のぼること高泉淳子と並んで、小劇場界で最も「少年」が似合った役者だものね)。
今の松潤は、あまり「少年」という雰囲気ではなさそう。蜷川演出では、どうするのだろう?  やはり少年でいくのか、それとももう少し違ったサスケになるのか? 
あれから20年たって、野田ワルキューレが蜷川によってどのような世界に作り変えられ、松本が演じていくのか、本当にワクワクする。……だけに観たいものです。

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コメント

はじめまして。松潤ファンのアリーと申します。
今度野田さんの「ワルキューレ」を20年ぶりに再演ということで、この作品についてめちゃ調べていたところですが、なかなか詳しいものを見つけられず。。。
ココにたどりつきました〜。ちょっと感動です!
実際にすべて御覧になっていたんですね〜。当時の様子がありありと伝わって、ワクワクしちゃいました。
そういう方も注目されてるんだなぁと思うとますます楽しみになっています。わたしは福岡だしチケットとれるかわからないんですが、元々舞台とか興味はあるのでぜひ見てみたいと思ってます。NAGIさまにも御覧になっていただき、感想など聞かせてほしいなぁ。
長々と失礼しました。良かったらいろいろ教えて下さい!また遊びにきますね〜。

アリーさん、こんにちは。コメントありがとうございます!
(重複分は消しておきました)。

松潤ファンなのですね。
いやあ、いいですよね。アイドルらしからぬ演技力だし、まじめさを感じます。三島を読んでいると聞いて、すっかり好感度アップですよ。
ワルキューレは本当に楽しみですが、私もチケットがとれるかどうかわからないので(ファンクラブなどに入っているわけではありませんし)、あんまり盛り上がらないようにしないと、と自制してます。。
こちらこそ、色々と教えてくださいね。

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    「すばらしい」の一言。夾雑物が何もなく、ワーグナーの音自体が見事に立ち上がってくる。