劇団一跡二跳「パラサイト・パラダイス」
子どもコミュニティネットひろしま(旧・おやこ劇場)のユースシアター(高学年例会)をのりいれで観劇。
劇団一跡二跳の『パラサイト・パラダイス』
・2005年11月17日(木)19:00~(2時間)
・広島市南区民文化センター ホール
・作・演出:古城十忍
⇒劇団ページ:2003年公演、2005年公演
3LDKに住まう家族。会社員の父、専業主婦の母、会社員の姉、大学生の弟。
この家庭は、形骸化してしまっている。父と母はそれぞれの本音をよそに、役割として互いに接し、波風たてぬように自分だけが我慢していると感じている家庭内別居状態。姉はフリーターの男を自室に住まわせ、弟は大学を中退して引きこもり。さらに、母の母と父の父がそれぞれころがりこみ、隣家のサプリオタクの男まで入り浸るようになる。
すっかり人口密度が高くなってしまった家の中で、各自がもともと抱え持っていた葛藤やストレスが顕在化し、ぶつかりあう。世代やジェンダー、役割、そして、家族とはいったい何なのかということを、深く深く、かつユーモラスに考えさせられる芝居だった。
とてもいい芝居です。おすすめ。
戯曲自体もよくできているし、劇団のユニットがとてもいい。
家の中のすべての部屋を見ることができるセット。
父と母の口論で、互いが入れ代わる場面(父が女言葉で妻の内面吐露、母が男言葉で夫の内面吐露をするのと、本来のしゃべりとが、めまぐるしく交代する)。
波風を立てないように役割を演じつつ、内面吐露するときには、それ以外の周囲がストップしてしまう手法。
起床・食事・満員電車の通勤・仕事・接待・電話・帰宅、、、の繰り返し。毎日の会社員の生活をパントマイム風に見せる手法。
演劇ならではの見せ方が満載。しかも深刻になりすぎず、ユーモラスなところや、解決はしないものの、最後に希望が見えてくるところも、とてもよい。
古城十忍(こじょう・としのぶ)の作品を観るのは初めて。
1959年生まれ。またしても同世代か。「家族」をめぐる小説・戯曲を、この世代は精力的に追求しているなあ。
・・・って、今、リンクを張り付けた写真を見て気付いたのだけど、なんと私の隣の席で見ていた方ではないですか!
帰りの車の中でダンナと、雰囲気からしてきっと劇団関係の人だろうね、、と話していたのだけど、まさに! いやあ、そうだとわかれば、何かお話すればよかったなあ。。
ま、娘も面白がって見ていたし、周囲の観客(親子ともども)も好評だったようだし、不愉快な思いはされなかったでせう。
なお、戯曲『パラサイト・パラダイス』は而立書房から今年9月に刊行されたばかりのもよう。
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