映画「メゾン・ド・ヒミコ」
監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
出演:オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯
音楽:細野晴臣
先日見た、ひっさびさの映画。もうヤケだ、こうなったら映画でも見ないとやってけなーい、と思いたったものの、でもそんなに何本も行く(時間的)余裕もなく、ウディ・アレンの「メリンダとメリンダ」、「ルパン」と3本で迷った末に、「メゾン・ド・ヒミコ」へ。
三島由紀夫なんてやってることもあって、ゲイやレズビアン、そのほかの性的マイノリティやセクシュアリティを題材にした映画をそこそこ見ている方だと思うのだけど、この映画はよいです。 今年見た映画一般としても、「パッチギ!」「ヒトラー」と並ぶ佳作だと思う。
性的マイノリティの老後の問題や異性愛者との関係を扱っているというにとどまらず、ゲイへの世間の抑圧もきちんと描かれた上で、悲哀も楽しさも描けていた。(タイトルロールで、「取材協力」として伏見憲明さんの名前が載ってて、ああ、ちゃんと取材して作った映画だったんだなあ、と深く納得してしまった。)
借金をかかえた24歳のさえない女性事務員サオリ(柴崎コウ)のもとを、若い男・春彦(オダギリジョー)が訪ねてくる。男は、父親・ヒミコ(田中泯)の愛人で、ゲイのための老人ホームを作っていた父親は重い病にかかっていた。縁を切った父に会うことを拒むサオリだが、春彦の提示した破格の報酬につられて日曜だけ家政婦としてホームに通うことになる。・・・
ありえない設定にみえるけど、ナチュラルで、かつとんがったところもあっていい。
主役二人の「また会う日まで」のダンスシーンがとても気持ちよかったし、ネタバレしそうであまり書けないけど、青いベッドのところはとても切なかった。メゾン・ド・ヒミコの住人たちはみんな味があるし、オダギリジョーをめぐる中学生の挿話がケッサクでよい。田中泯が、月並みな言い方だけどまさに圧倒的な存在感で映画全体を締めていた。また、西島秀俊がヒミコの世界とは全く対極にある世間一般のノーマルな異性愛者を体現してて、これまたよかった。
犬童監督が、登場人物たちはみんな、それぞれの立場で“何かを試そうとした人”だと書いているが、失敗も含めてそうした一線を超えようとする気持ちが、観客に快く響いてくるのだと思う。
また、観客は、柴咲コウの目線によってヒミコの世界の人々に対することになるわけだけど、当初の嫌悪感から親密さへ、それが超えられない性的指向をつきつけられて反転したあと、最後のヒューマンなつながりへと流れていくわけで、それがとてもとても自然で、心地よかった。
とにかく丁寧に作られてて、コミカルで切なくて、、映画の世界全体がとてもよい感じ。というわけで、見終わったあと、パンフレットとともに発作的に写真集まで買ってしまった。
しかしよく考えてみると(考えなくても)、私は別に役者のファンというわけでもなく、(いや、もちろんオダギリジョーの色っぽさにはドキドキさせられましたけど)、帰宅して検索してみるとガイドブックもあったみたいで(映画館にはおいてなかったぞ)、そっちのがよかったかも・・とは冷静になって思うこと。(最近、家と職場の往復で終わっちゃってるので、たまーに街に行くと、こうふんしておかねのつかいかたがへんだ。買うべきものを買わなかったり、逆だったり)。ま、いいや。写真集をみながら、しばし作品世界にひたりませう。。。
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オダギリ ジョー 柴咲コウ 田中泯「メゾン・ド・ヒミコ」Official Photo Book 平間 至 角川書店 2005-08-09 by G-Tools |
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『メゾン・ド・ヒミコ』オフィシャル・ブック キネマ旬報社 2005-08 by G-Tool |
広島では、シネツイン2でのみ上映。10月21日まで。ぜひぜひ!(私ももう一度行きたい。この映像世界はおすすめです)。
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〔2006年2月5日追記〕
シネツイン1で、2月4日~10日まで再演中(800円均一!)
DVDも、3月3日に発売予定のようです。
![]() | メゾン・ド・ヒミコ 特別版 (初回限定生産) オダギリジョー 犬童一心 柴咲コウ 角川エンタテインメント 2006-03-03 by G-Tools |
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