映画「姑獲鳥の夏」
遅まきながら、数日前に、映画「姑獲鳥の夏」を見ておりましたので。
たいへん豪華なキャストで(原作ファンの間では、自分のイメージに合うかどうかかまびすしかったらしい・・)、それぞれきれいに演じていたのだけど、話自体はいま一つかなぁ。
京極夏彦は、以前の学校に勤めていたときに、大ファンの学生に、ぜひ読め、と無理やりあの分厚い弁当箱のような本を押しつけられて読んだのが始まり。
原作を読んだときには厚さに目がくらまされていたけど、けっきょく、蘊蓄というか、何層にも重ねられた分厚い意匠をはぎとってしまうと(それが映画という2時間の世界で見えやすくなった)、女が諸々の根源で、しかも母性と結びついてしか描かれないという原型がクッキリと見えて、ちょっとげんなり。
分冊文庫版 姑獲鳥の夏 上 京極 夏彦 by G-Tools |
分冊文庫版 姑獲鳥の夏 下 京極 夏彦 by G-Tools |
ところで、映画館で「春の雪」の予告を見る。(トレーラーは、すでに公式HPにアップ済み)。
スクリーンで見ると、きれいなのは確か。でも、きれいなだけで、清顕も聡子も持ち合わせているはずの、ある種の毒気のようなものは感じられず。
ま、『豊饒の海』四巻の一つなんて思わず、「春の雪」としてだけなら、こんな純愛路線もアリなんでしょうね。
春の雪 三島 由紀夫 新潮社 1977-07 by G-Tools |
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