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« 倉橋由美子さん死去 | トップページ | 榎本ナリコ『こころ』 »

2005/06/14

蜷川幸雄演出『近代能楽集』

・2005年6月11日(土)19:00
彩の国さいたま芸術劇場
・原作:三島由紀夫
・演出:蜷川幸雄
★「卒塔婆小町」:壤晴彦高橋洋
★ 「弱法師」:藤原竜也夏木マリ・瑳川哲朗・鷲尾真知子・清水幹生・神保共子

ホリプロ
シアターガイド
6月19日(日)まで。その後、新潟・愛知・大阪公演あり。
---

蜷川さんの『近代能楽集』といえば、三島没後の1976年に行われた連続公演の「卒塔婆小町」が幻の名舞台と言われていた。平幹二朗(老婆・小町)、寺泉憲(詩人)の公演の様子を、新潮カセット文庫でしのぶのみで、私にとってはまさに眷恋の舞台だった。

初めてナマで観たのは1990年、新神戸オリエンタル劇場で。このときは、「卒塔婆小町」と「邯鄲」の組み合わせ。老婆は、平から、今回と同じく壤晴彦に変わり、詩人は井上倫宏だった。(ちなみに「邯鄲」の方は、松田洋治と松本留美の組み合わせ。)

そして、前回は2000年11月に大阪ドラマシティで(この舞台を見てから、山中湖のフォーラムに行ったのだった)。「卒塔婆小町」と「弱法師」で、役者もほとんどが今回と同じ。「弱法師」に若干交代があり、桜間級子が高橋惠子から夏木マリへ、俊徳の養父・川島が筒井康隆から瑳川哲朗へと変更。

この2000年の舞台が、私にとっては「卒塔婆小町」の決定版となった。
「卒塔婆小町」は、『近代能楽集』のなかでおそらく最も上演数の多い作品のはずだ。私自身、第三エロチカ、李麗仙の小町、tptなどナマで何度か見ているし、ビデオなどで拝見したものもいくつかある。そのなかで、やはり図抜けていた。

基本的な演出は、おそらく初演のときから変わっていないはず。舞台の周りに椿の木々があり、ぽたっぽたっと椿の花が落ちてくる。公園のカップルはすべて男性。カセットで聞くかぎり、音楽も若干の変更はあるものの、基本的は同じ。
とにかく、この公演で、私の目にも老婆が美しく見えた。詩人の認識の中の老婆=小町の美を、それは主観的なものであるにもかかわらず、感じ取ることができたのだ。それまで幾多の舞台が、照明や衣装を変えたり、、といった工夫で老婆の醜さと小町の美しさを同一人に映そうとした(ダブルキャストもあったらしい)。それを、壤晴彦と高橋洋は軽々と超えたのだった。生身の人間が観客の目の前で演じる演劇で、皺だらけの老婆を美しいと思わせる。詩人の主観的美を観客に体現させるなどという困難を、蜷川演出はやってのけたのだ。観る者にとっては、至福の体験だと言ってよい。

この2000年の舞台では、藤原竜也を初見。若さとうまさとが強く印象づけられ、帰ってからも「ただのアイドルじゃない」と吹聴してまわったのだが、作品としては「卒塔婆小町」の方が圧倒的に上だった。

さて、今回。
正直なところ、今回は私にとっては、「弱法師」の方が、「卒塔婆小町」よりよかった。
理由はよくわからない。

「卒塔婆小町」の演出は、基本的には変わらなかったと思う。鹿鳴館の場面に入って、曲がっていた老婆の背筋が伸び、小町へと変化していく。
壤も高橋も、キチンとこなしていた。だが、なぜか前回ほどの絶後といった印象は持てなかった。
前回から5年間、あまりに素晴らしい舞台だという思いが私の中で発酵し、期待を持ちすぎていたのかもしれない。あるいは、今回、座席に恵まれ(前から4列目のど真ん中。2000年のときには、やや後ろよりの席だった)、老婆の顔に描かれた皺があまりにハッキリと見えすぎて、詩人の主観に同化するジャマをしてしまったのかもしれない。

対して、「弱法師」の方は、もはや「少年」から「青年」へと成長した藤原竜也が、この世の終りの劫火を見た俊徳を演じきっていた。そして、5年間の役者としてのキャリアから生じるオーラ。キラキラしていた。 ただ、俊徳の終末意識を否定する桜間級子は、優しく包み込むように現実を体現するという点で、高橋惠子の方が夏木マリより合っていたようだ。夏木マリは素敵な女優で好きだけど、包み込むような暖かさより、豪奢な冷たさが持ち味(「阿修羅城の瞳」の美惨みたく)。なんだか桜間の雰囲気が変わってしまった気がする。
それにしても、幕切れで三島の最期の演説を流し、俊徳の終末観と三島自身とを重ねようとした蜷川の演出意図は、ともかく伝わってきた。

それにしても、なんで新潟公演があって、広島がないのだろう??(せめて福岡には来てよーー)。 広島公演があったら、学生さん誘って大挙して(そんなにいないか(^_^;・・。いや、誘うぞー!)押しかけるのになあ。。
ともかく、DVD発売を切望

4101050147 近代能楽集
三島 由紀夫
新潮社  1968-03

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コメント

見に行かれたのですね。羨ましい。2000年の名古屋の舞台では私は藤原竜也君の印象が強いです。それにしても「まあ、俗悪だわ!俗悪だわ!」という老婆の台詞に説得力を持たせるのは演出も役者も大変ですよ。

大阪公演のチケットは一応予約したので無事帰国出来れば何とかなりそうです。台湾公演とかやってくれませんかね。

「DVD発売切望」に「激しく同意」。やはり
<圧力>をかけましょう(だから何の?)

今、大塚英志の計略にだまされまして(笑)、
「COMIC 新現実」を熟読中なのですが
VOL4お読みになりましたか?

表面上は「特集白倉由美」なんですが
裏特集が「やおい」なので。
香山リカの弟の独占インタビューや
やおいファンのアメリカ人女性のインタビュー
荷宮和子さんの論も面白いんですが
ホモホモセブンのみなもと太郎先生インタビューでは「さいとうたかを やおい起源説」と言う驚愕の説が唱えられていて
ぜひNAGI先生のご意見を伺いたいと。
(買ってから他の仕事が出来なくなって困っておるのです)

これですね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404853842X/qid=1118842191/sr=1-2/ref=sr_1_10_2/250-7482978-6001848

『近代能楽集』大阪公演には、うちの学生たちも行くようです。高速パスで往復するとのことで、帰りの足があるので、上演時間をしきりに気にしていました。
私も、院生時代、芦屋ルナホールだとか、今は亡き大阪近鉄劇場だとかに遠征するときには(遊眠社追っかけ(^_^;)、新幹線使うお金がなくて、鈍行で往復してました。。懐かしい・・。

大塚英志さんの本は買ってみます。
お教えありがとうございます。

私は名演小劇場か七ツ寺ですね。遊眠社も南座まで見に行きました。

大阪では多分泊まりで次の日知人に会うか別の用事をするでしょう。その次は九州。

新現実は6号まででおしまいだと本人が断言しておられたので(5号は7月に出る)、今のうちにそろえた方が良いかもしれない。マンガ研究(それと80年代研究)するときの基礎資料になりそうな本だから。

私も、南座では、「贋作 桜の森の満開の下」などを観ました。毬谷友子がよかったですよね。
名演小劇場や七ツ寺も、もちろん名古屋時代にはよく行っていました。なつかしい・・

「新現実」、とりあえずおすすめの№4を注文しましたが、じゃあ、全部揃えなきゃいけないのかしら。

大塚英志は、
物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン

キャラクター小説の作り方
も面白かったです。

私も「桜の森の満開の下」でした。

全部お買いになった方が良いかもしれません。連載も多いですから。マンガを研究しようとする学生さんにも役立つでしょう。

「おたくの精神史」は絶版になっているそうですがあれは良い本です。

日本女性学会についての美学者植村恒一郎氏のコメントです。
http://d.hatena.ne.jp/charis/20050612

マンガ研究の学生、出てきますかね。やはり「文学」の縛りが強いところですから。。
以前の勤務校では、手塚治虫研究やった学生がいましたっけ。

女性学会シンポジウムのコメント、面白く拝読しました。
でも、国家論、の方にいっちゃわないところが、女性学会ならではのような気もします。

いや、教育的手腕で出させないと。マンガ研究というより70年代、80年代研究の一環です(もう「歴史」なのだという意識が必要 そしていまにつながっているのだという)。

「国家論に行っちゃわないところが」がというのは同意。しかし佐藤文香さんの仕事やシンシヤ・エンローの仕事も出てきましたし、岡野さんの研究も法哲学なのですから国家とは無縁ではない(アンチゴネー論は国家論ですからね)。

はじめまして。
なんだか、近代能楽集の細かいセリフも薄れてきつつあるこのごろ・・・。ラストシーンの解釈がどうしてもできません。どうか、アドバイスをお願いします。

ジュリさん、よく来てくださいました。
返事が遅くなってしまって、ごめんなさい。

「弱法師」は、藤原竜也くんにとって本当に当たり役となりましたね。
ラストは難しい。戯曲だけならば、電灯が灯された部屋に、その明るさを知らない俊徳が一人残されたところで、彼の孤独と級子との力関係を読み取れるのでしょうけど、蜷川演出ではあの三島自決を使った演出ですから・・。
こちらこそ、お考えを教えていだだければうれしいです。

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