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2005/03/14

「イズ・エー〔is A.〕」

映画「イズ・エー〔is A.〕
監督:藤原健一(第1回監督作品)
出演:津田寛治、小栗旬、内藤剛志、戸田菜穂、斉藤歩、姜暢雄

渋谷でファミレス爆破事件を起こして捕まった14歳の少年。少年法の規定により、4年後に、名前も住所も変えて社会復帰する。妻と子を事件で失った刑事は、わずか4年で本当に更生したのか疑い、復讐心から少年の後を追う。一方、少年の父親は、事件によって教師の職を辞め、清掃工場で働きながら、バラバラになった家族の再生を願う。そうした中、新たな殺人事件が起き・・。

「少年A」にまつわる映画タイトルといい、神戸の事件などを強く連想させる題材である。
オウムや9.11以降、私たちは、個人・社会・国家さまざまなレベルで、衝動的に・計画的に無差別暴力が勃発する可能性のなかに否応なく生きている。いつ自分/自分の家族が、被害者/加害者になるかわからない、不条理な世界のただなかにいるのだ。
そうした今の社会の空気・気分を、かなり体現しえている映画だと思う。

だが、私は、どうしてもこの映画に心から入り込むということはできなかった。認めるし、関心はあるけど、好みではない映画だということだ。
それは、結末を含めて、津田寛治演じる刑事に対して、どうしても感情移入できなかったためだろう。
妻子が殺され、自暴自棄に、あるいは虚無的になるのは、よくわかる。だが、「刑事」が、己の感情にまかせて少年の居所を知り、恫喝してしまうのには、どうしてもなじめない。それでは、身勝手なメッセージを残し、己の感覚のままに無作為に爆破した少年と、結局は変わらないではないか。あの刑事の行為が、再度の事件をギリギリのところで後押ししたのかもしれないのだ。

結末の行為も含めて、ああいった身勝手さを「男らしさ」だと勘違いしてほしくない。が結局、映画全般に、ある種の「男らしさ」の美学にのっとって作られた男のための映画だな、、という印象を抱かざるをえなかった。
そうしたストーリーや折々に挿入される瀟洒な映像(公式HPも凝りすぎていて、私にはやや閲覧しづらい。表示されるまでの待ち時間が多いわりに文字情報量が少なくてイライラする)には入っていけなかったのだ。

だが、役者たちはいずれもよかった。
津田寛治は、役柄は好きじゃないけど、鬱屈した心情をよく体現していた。小栗旬は、少年Aのわからなさ・「心の闇」を、無表情さに託している。身体は大きくても内面は未成熟なままの少年の、外見からはうかがいしれない怪物性を見せていた。
内藤剛志が、とにかく熱演。前半は抑制がきいた演技。世間をはばかりながら、息子と家族を懸命に気づかい、後半は思いつめて行動に走る父親の姿を演じている。印象深いのは、逃亡したユウヤを探して海岸線を車を走らせながら涙を流すシーン。自分の息子が加害者になってしまった誠実な人間は、おそらくこんなふうに生きざるをえないだろう、という説得力があった。子どもも生きていくのにしんどい時代だろうけど、親であることもかなりしんどい時代に私たちはいるということを、改めて思わされた。

横川シネマ!!にて、3月18日(金)まで。

B0008GGTUQイズ・エー [is A.]
津田寛治 藤原健一 小栗旬
GPミュージアムソフト 2005-05-25

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{/kaeru_fine/} 藤原健一「イズ・エー」は、大量の死者を出したレストラン爆破事件の14歳の犯人が4年ぶりに出所してきた、という映画です。 加害者の... [続きを読む]

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