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2005/02/04

「パッチギ!」

映画「パッチギ!」を観る。

・監督:井筒和幸
・脚本:井筒和幸・羽原大介
・原案:松山猛「少年Mのイムジン河」
・音楽:加藤和彦
・出演:塩谷瞬(松山康介)、高岡蒼佑(リ・アンソン)、沢尻エリカ(リ・キョンジャ)、オダギリジョー(坂崎)

よかった。予想以上に。
男の子二人連れがやたら多い客席のなかで、うるうるきて目頭をぬぐいつづけておりました。

1968年の京都を舞台にした青春映画。
「GO」とは逆に、主人公の男の子が日本人で、彼が恋した相手が在日朝鮮人なのだが、作品の中心は、この二人だけではない。女主人公の兄たち三人組をはじめ、兄と日本人の恋人、日本の高校教師、フォークを介して知り合った酒屋の兄ちゃんなどなど、グループとしても、それぞれ個人も、各自の家族までキチンと描けており、1960年代の人と社会の現実と理想とがせまってくる。

チェドキの葬儀で、入り口が狭いため棺桶が家のなかに入らない。号泣するオモニ。泣きながら戸口をこわすアンソン。
差別や度をこした暴力の底に貧困があること。その根っこに強制移住があったこと。日本と朝鮮半島との関係、南北分断の現実が、画面から、酒屋に集まる日本人の口から、あるいは葬儀の場の長老の口から、康介に、そして観客に語られ伝わっていく。

酒屋でベトナム情勢を語る人々、また毛沢東語録片手に理想を語る高校教師(彼はのちに亡命ロシア人ストリッパーのヒモになる)。いたよなあ、いそうだよなあ、そんな人たち。みんなマジメに生きていた時代だったんだと思う。
もちろん、今だってマジメに生きている人たちは多いのだけど、今みたいな閉塞感も、ネットのようなバーチャルなつながりもなく(メディアは新聞・ラジオ・白黒テレビと、固定電話ぐらい)、人が生身の体でぶつかりあいつながりあっていた地代だったのだ。
(68年には私はまだ子どもだったけど、それでも十分懐かしい。現実には、団塊の世代があのときもうちょっとシッカリやってくれてれば、ちっとはマシな世の中になっていただろうに、と「クビレ世代」(by荷宮和子)としては思うわけではあるが)。
また、舞台が反骨の街・京都ならでは、ということもあるのだろうけど。

「イムジン河」がまたいい。朝鮮高級学校のブラスバンド、オダギリジョーのギターつまびき、オダギリとシオシュンの練習風景、公園での演奏と合唱。そして、民族の壁を超えられたと思っていたのにどうしても超えられない壁をつきつけられたあと、歌うことの許されなかったこの歌を歌う康介、ラジオを聞かせるヨンジャ。
朝鮮民族を分断する38度線を流れる川であるとともに、日本と朝鮮の民族を分断する京都の川とも重なりあっていく。

すさまじいケンカのシーンが散在する末に、ひとまず幸福なラストにたどりついたとき、今もある戦争をなくすことなんて、その気さえあれば、実は簡単なことなんじゃないか、つながり合いたいと思う気持ちさえあれば、、、。と、素直に浄化されていく。
若いひとたちに、もちろん昔若かったひとたにも、ぜひ観てもらいたい映画だと思う。

ところで、シオシュン
ハリケンジャーを一年間見て、あのときも作中の忍者たちが成長していったのと同様に役者たちも成長していったと実感したけど、この映画で、こんな役ができるなんて驚いた。ほとんど見守るお母さん気分な書き方だけど。
ふつうのホヤヤンとした日本の高校生が、敵対する朝鮮高校のフルートの女の子に惹かれ、朝鮮語を勉強し音楽によって壁をこえて仲間になり、でも己の無知と民族の超えがたい壁をつきつけられ、それでもイムジン河を歌う。
ヤンソンのような強烈さがないだけに、なかなか難しい役だったと思うけど、とてもリアリティがあった。共演していた特撮の先輩・オダギリジョーみたく、いい役者になってほしいなあ。
(それにしても、オダギリのヒッピー風長髪には笑った。一瞬、浅野忠信かと思った)。

---
〔2005.2.6 追記〕
二つの相反するパッチギ評を見つけた。
超映画批評破壊屋

私は破壊屋さんに賛成。すごくちゃんと映画自体を語っていると思う。
とはいえ別に政治的に見たっていいとは思うけど、破壊屋さんが、これほどまでにエクスキューズをつけなきゃ映画自体について語れない雰囲気になっていること自体、いまの日本はどうなってんだ!と思う。

B0009G3F16パッチギ ! スタンダード・エディション
塩谷瞬 松山猛 井筒和幸
ハピネット・ピクチャーズ 2005-07-29

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