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2004/12/11

徒然なるままに鍋島化け猫騒動を想う

4月に転勤して以来、授業がある月の土曜日のうち半分ぐらいは勤務校で開かれる研究発表会のために出校している。
(わが家は「育児時間制度」をしいていて、まったく手当ての出ない土曜出勤のために、ダンナへの借金(借時間)は増えるばかりで、なかなか返せない(;_;)。この「育児時間制度」、また家事・育児をめぐる「わが家の男女共同参画生活」自体についても、そのうちに書いてみたいものだ)。

この研究発表会というのは、3年生・4年生・院生が、各自の行っている研究を、4年生は毎回全員、3年生と院生は年に1回は担当するよう輪番で発表し、他の学生や教員が質問や講評するというものだ。
正式な教室行事であり、年に1度の晴れ舞台という感じで、学生はかなり熱を入れて準備をする。学部生にとっては卒論完成にいたる重要なステップだし、院生にとっては模擬的な学会発表の場となっている。

会は、だいたい午後1時に始まり(発表者の多いときには午前10時から開始)、5時6時までつづく。プログラムは日本語史・現代語・古代文学・中世文学・近世文学・近代文学の順で組まれている。
(私には近代文学の発表に対して講評することが義務づけられているのだが、近代はいつも最後なので、出番のときには疲れてしまっていることも多い。たまには順番を替えてみませんか、、ともうちょっと古株になったら提案してみよう・・)。
発表会のあと、茶話会みたく近況報告を行う学年別のクラス会が開かれることもあり、教員と学生との交流の場となっている。いまどきの学生たちの生活や気質がかいまみえて、なかなか面白い。

私が院生のころにも同様の研究発表会があったのだが、あまりマジメではなかった私は、というより近代文学の院生たちは、近代の時間枠だけ教室に入り、発表に対して感想やアドバイスをしゃべり散らすと、また教室から抜け出していた。日本語学や古典文学といった日本文学にくくられる他分野よりは、社会学や心理学、思想史などにむしろ親近感をもっていたからかもしれない。でも、今思えばヒンシュクだっただろうなあ。。

そんな調子だったので、学生による研究発表をキチンと最初から最後までマジメに聞くのは、初めてに近い。
専門分野外の話は、正直なところ退屈なこともある。だが、初めて聞くことがらや資料など興味をそそられることもあるし、他分野の院生や教員の講評に教えられることも多い。

今日は、3年生の発表会だった。
それぞれ研究会に所属して、プレ発表をこなしてはいるものの、多くの人の前で行う口頭発表は初めてなわけで、緊張しながら原稿を読み上げる姿は、とても初々しい。

なかで、個人的に面白かったのは、鍋島化け猫騒動を扱った『肥前佐賀二尾実記』という資料を扱った近世文学の発表。
学生の発表自体は、このテキストが、講談や歌舞伎など、他の鍋島化け猫騒動を扱った物語内容とどのように異なっているのか、その背景などを考究するものだった。

だが、私が関心を持ったのは、化け猫騒動それ自体。
鍋島化け猫騒動には色々なバリエーションがあるようだが、基本的には藩士の母親や、藩主の奥方(側室の場合も)が古猫に食い殺され、猫は母や奥方に姿を変えて藩主の命を狙う。それを忠臣が見破って切り捨てるというものだ。
これって、ジェンダー批評のかっこうの材料ではないだろうか?

化け猫が宿っていたといえ、忠義のためには母や奥方といった女を切り捨ててもかまわないというメッセージ。
諸本によっては、家臣は化け猫だと確信して切ったものの、死骸は奥方の姿のままなので、切腹の覚悟を決める。そこへ、僧侶の助言があり、助言どおりに三日三晩日月の光に当てると怖ろしい古猫の姿に変わったという場面もあるらしい。これなど、女の本性は化け猫だといった深層が読み取れるわけで、女性嫌悪(ミソジニー)そのもの。
そして、そうした男性優位の物語が、『葉隠』・武士道の肥前佐賀で生れたのが、いかにもとうなづける。。

・・・てな、実証的な発表とはまったく関係ないことを、もちろん発表はちゃんと聴きながら、徒然なるままに妄想しては興じていたのだった。
帰宅してから、そんなことを話題にしていると、ダンナの知っている佐賀出身の女子学生は、「佐賀の男でないと、男だと思えない」とのたまっているのだそうな。
うーん、すごい。小さいころからの刷り込みか。さすが武士道とは死ぬことと見つけたりの国だなあ。。そうして、私の化け猫解釈は、ますます強固になったのだった。(佐賀の方、すみません。ものすごい偏見かもしれません)。
それにしても、こういったジェンダー的解釈って、すでになされているのかしらね?

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