山中湖レイク・サロン
三島由紀夫文学館の第1回山中湖レイク・サロンに行ってきました。
気持ちのよい祝日の午後、紅葉の美しい文学の森にて。2人の研究者による1時間ずつの発表のあと、1時間半ぐらいのフリートークの時間が設けられるという構成。参加者は30人ぐらい。
杉山欣也さんの発表(学習院時代の三島由紀夫-『赤絵』第1号という場)は、没後34年を経て、三島の死というフィルターを排した研究が望まれるのではないか、初期の三島に関しても「日本浪曼派」からだけではない視点が必要なのではないか、との問題提起のもと、学習院での文芸活動の重要性を説かれたものでした。具体的には、同人雑誌『赤絵』第1号における三島作品や同人・東文彦の作品の分析がなされました。
佐藤秀明さんの発表(『奔馬』における「忠義」の思想)は、『奔馬』における当時の時代背景から勲の「忠義」の特徴があぶりだされていく論でした。モデル論や金融政策など時代背景を明らかにした上で、『奔馬』の勲のクーデターと当時のそれとの違い、さらに勲の「忠義」が「純粋」という価値と結びつけられていることの評価に入っていかれました。
フリートークでは、井上隆史さんの司会のもと、三島にとっての「天皇」の意味や、学習院時代の三島についてなど活発な意見交換がなされました。
大いに刺激をいただき、行ってよかったです。昨年までのフォーラムがなくなると聞いて残念に思っていましが、代わってサロンを開くということで安心。実際に参加してみて、三島好き・三島に関心をもつ人々が集まって、熱心に・なごやかに語り合うことができること、とても楽しかったです。
ただ、第1回ということで、講演なのか、研究発表なのか、など、まだサロン自体の位置づけが見えていないところも若干ありました。でも、それも、今後、参加者によって方向づけられていくことでしょう。
また、三島文学について話し合える場を山中湖の三島由紀夫文学館で確保するのだ、という主催者たちの強い意志を感じました。企画をねられた文学館・佐藤さん・井上さんに、心から感謝します。
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