「髑髏城の七人 アカドクロ」映像版
劇団☆新感線の「髑髏城の七人 アカドクロ」映像版を観る(11月12日19時半 広島バルト11) 。
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太・水野美紀・佐藤仁美・坂井真紀・橋本じゅん・河野まさと・佐藤正宏・山本亨・梶原善ほか
制作:イーオシバイ
今年春の劇場公演の映像版を映画館で上映するというもの。
芝居はナマで観るのがもちろんよい。だが、地方に住んでいると見るのはむつかしいし、チケットを取るのも難しい芝居だってある。
その点、舞台の映像化は、見たかった芝居を見られるチャンスだ。だが、これまでのテレビの舞台中継、販売ビデオやDVDでは、単に舞台を映しただけだったり、自宅のテレビ画面で観るのでは舞台とはかけはなれていて不満足だった。
そうした点で、映像としてもキッチリと作ってある作品を、映画館のスクリーンで見られるというのは、画期的だ。
思ったよりも、とてもよかった。舞台に接しているかのような迫力がある。実際の舞台だと見えづらい席もあるのだが、全体像とアップとみごとに製作されていて、どの席からも平等な観劇体験がもてるのもよい。
芝居自体も見事。さすがに新感線の看板作品。
古田新太は存在感とハナがある。二役それぞれの演じわけも見事だが、捨之介の方が古田のキャラクターには合っている。
そして、りりしく、はかない美しさの水野美紀、庶民のエネルギッシュさを体現する佐藤仁美、芯の強さとコミカルなかわいらしさとをあわせもつ坂井真紀。女優陣も、それぞれの味があってよい。
もちろん、橋本じゅん、梶原善、河野まさと、といった脇を固める役者も、それぞれの持ち味を存分に発揮している。
殺陣がかなりあるのだが、飽きさせない。
それにしても、小劇場世代のこうした大きな芝居の、走りを含めた肉体の使い方や舞台転換・音楽などに、野田秀樹の果たした役割は大きいのだなあと、見ながら改めて思った。
もちろん、いのうえ歌舞伎・新感線独自のものは大きい。だが、世代全体として、遊眠社は一種画期であり、それ以降の芝居の方法を変えてしまったのではないだろうか。
新感線の芝居は、そうしたベースの上に立ち、独自の味わいを作り上げ、花開かせているように思える。
それにしても、よかった。アカドクロ。
途中休憩を入れて(映画で休憩があるなんて・・。芝居と同じように演出している。上映前後や休憩時などに古田新太の声が流れるのも面白かった)上映時間3時間あまりだけど、まったく途中息つくまもない展開。
アオドクロもこうした映画館での上映という形で、ぜひぜひ見たいなあ。
また、映画版「阿修羅城の瞳」も来年春公開されるらしい。特典の手鏡に惹かれて、前売り券を買ってしまった。気がはやい・・・。
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