『痛くなるまで目に入れろ』
ちょっと遅くなったけど、芝居のレビュー。
★G2プロデュース『痛くなるまで目に入れろ』
・2004年9月28日 アステールプラザ中ホール
異常なまでに過保護な父親に育てられ、ときどき記憶をなくしてしまうまでに暴発する息子。あまりに強烈な父親の下で子どもがどのようになっていくか、見せつけられた。
息子役の山内圭哉は、普通さと危なさの狭間を強く印象づけた。ぱっと見は新・海老蔵に似ている。父親役の陰山泰は痛い父親の不気味さをまさに体現。
脇を固めるのはみんな曲者役者ばっかりだったけど、とくにスタジオ・ライフの曽世海児に注目。殺人狂のヤクザと女装しての(さすがライフ役者!)女学生やレディース(暴走族)などの落差に笑えた。
タイトルは最初?だったのだが、内容を見て納得。「目に入れても痛くない」親の盲目愛に由来しているのだなあ。
そう言えば、唐突に出てきた女学生たちが「リップクリームは保護しすぎて唇にはよくない」などと言っていたのも、タイトル=テーマがらみだったのだなあ。
とにかく非常によくできたブラック・コメディー。最後の殺戮は、ちょっと引いてしまうくらいで後味悪かったけど、これも狙いどおりなのだろう。好きな話ではないけど、うまく煉られていたことは認めざるをえないし、先日見た『鈍獣』などとも作りが近くて、現代の気分を切り取っているのかもしれない。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント