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2004/09/14

『アフターダーク』

このブログ、「ジェンダー? 文学? ……な生活」なんて副題をつけて看板に偽りあり状態なので、少しは「文学」を。

アフターダーク
村上 春樹
講談社 2004-09-07


by G-Tools
村上春樹久々の作品。「長篇小説」ということで、確かに短くはないけど、『海辺のカフカ』のような長い作品だと思っていると拍子抜け。あいかわらず色々な物語が一つにまとまらないままで終わっているが、『-カフカ』のように、何はともあれ読み切ったといった達成感をもてない。もちろん狙ってやっているのだろうけど、この作に対しては、もはや謎解きや象徴探しをしたくなるような欲望にはかられない。 なぜこれを書かなくてはならなかったのか、よくわからない。わかりたいと思わせるものがない。

「私たち」というカメラのような視点が最初から出てきて、「語り」の面で「実験作」ということになるのだろう。とても映画的だ。ただ、その手法もご都合主義的なものになってしまっている。
映画的手法を小説に積極的に導入している作家として金井美恵子がいるが、金井の『噂の娘』が映像の断片が長篇のなかにうまく織り込まれ、かけがえのない時間の像を読者の中に形成することに成功しているのに対して、『アフターダーク』は、私という読者を「私たち」なんていう中にくくりこまないでほしい、という反発をよびおこされてしまう。読者の異化も狙いだ、というのかもしれないが。

ただ、文章は、おそろしいほど錬磨されている。かっちりと作られた、きわめて強い文体だ。だが、その文体で、何を書くというのか?
マリをはじめ、一人一人の人物は、きれいに形象されているのだが、全体の印象が希薄なのだ。
それが現代社会を一つのカメラで切り取った図なのだろうけど。

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コメント

またまた、ありがとうございます~~私が編者をした『クィア批評』を、ご紹介くださり、嬉しいです。

もう、私は優れた執筆者の方々の御論文をとりまとめただけですから、雑用以外は何もしていないのに、厚かましく「編」なのですが、みなさんの御論文は面白いですよ!

おたくの大学、ものすっごく雑務が多いそうですね。某英米文学関係の方々がぼやいておられました・・・国立がそうならば・・・ため息。

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