Google検索


  • NAGIの小箱 を検索
    WWW を検索

おすすめの本_

おすすめの本

ジャンル別


  • 文学・評論

  • 女性学

  • こども


  • 三島由紀夫占い:今日はこの本を読むといいことがあるかも
フォト
無料ブログはココログ

« 親指シフト(ニコラ)・再び | トップページ | お弁当づくり »

2004/09/02

記憶

この2日、親指シフトのことを書いていて、初めてワープロ専用機を買おうとした頃のことを、フッと思い出した。

学生時代、講読していた国文雑誌の裏表紙に、某社のワープロが写真入りで載っていて(キューブのような四角形だった)、それを見ていてひどく惹かれた。学生にはとても高い買い物だけど、何だかその機械を使うと大論文や傑作エッセイが書ける幻想をおこさせる、そんな広告だった。

単純な私はすっかりその気になり、もうその機種を買うぞ!と心の中で決めていたのだが、みんながたまっている研究室で、何気なく同級生のKくんに、「某ワープロを買おうと思うんだけど、いいよね」と聞いてみた。まだパソコンやワープロを使っている学生はほとんどいない時代に、Kくんはすでに98+一太郎を使っていたので、ほんとに何気なく購入前最後の確認をとるぐらいのつもりで尋ねたのだ。
すると、彼は、ワープロ専用機のどれがいいかはよく知らないが、と言いつつも定評があるという機種名を3つぐらいあげ(その中に某社のは入っていなかった)、メーカーによってかなり違うから、ちゃんと現物を触ったり、カタログを見てスペックを比較したり、雑誌などで評判を調べてから買った方がいい、と親切にもアドバイスしてくれた。

あの機種を入手すれば傑作が書ける、とのぼせあがっていた私は、そんなことしなくても、と思いつつも、それもそうかとやや冷静になり、調べるだけ調べてみようと、Kくんに教えられたとおり、家電店に行ってカタログを片っ端からもらい、雑誌や本を買ったり立ち読みしたりして研究してみた。世間知らずで、そんな専門雑誌が出ていることすら知らなかった。
で、調べてみると、某社のワープロはどうもあまりよろしくない、どころか決定的な弱点があることがわかったのだった。

そうして、私は、前述のごとく古瀬幸広さんの記事にすっかり洗脳されて親指シフト教の信者となり、めでたくOASYS購入へと方向転換した。

最初購入しようと思っていた某社は、その数年後ワープロ生産から撤退し、現在もパソコンを作ってはいない。
あのとき何にも調べずに、某社のワープロ(当然、JISキーボード)を買っていたら、どうだっただろう。あの機種で、文書をすらすら作っていただろうか。買ってはみたものの、ワープロって使いにくいものだなあと思っただろうか。そして、今ごろどうしていただろう。親指シフトなんて関心もなく、とりたてて不便も感じないで、キーボードで日本語を打つのはこれが当然と、JISカナかローマ字入力してるんだろうな。。

別にKくんが親指シフトを勧めたわけじゃない。(彼自身は、たしかローマ字入力だったはず。)
でも、何だか、そのことを思いだすと、不思議な因縁を感じる。
あのときの忠告がなければ、私がこのキーボードにこだわることはなく、こんな文章を書くこともなかったのだから。

そのKくんは、もういない。
2年前の11月、急性心不全で亡くなってしまった。
若すぎる。別の仲間から知らされて、本当に驚いた。

小柄なKくんが、ヘルメットを片手に(通学やバイトにバイクを使っていた)、いつも忙しそうにセカセカと研究室に入ってきていた姿が思い浮かぶ。
卒業後は数回しか会っていなかった。最後に会ったのは山口での会合で、彼の知人と私とを、彼が自宅に帰るにはちょっと回り道になる新幹線の駅まで、車で送ってくれたのだった。

今頃、何してるだろう。あいかわらずセカセカと、そっけなさそうで面倒見のいい人だったから、「忙しい、忙しい」と言いながら、天国でもパソコン関係の仕事や相談をみんな引き受けてるんだろうな。

清原万里くんが遺したホームページを、よかったら見てあげてください。

« 親指シフト(ニコラ)・再び | トップページ | お弁当づくり »

コメント

 コメントありがとうございます。
 清原君の大学院の同級生ですか。僕は彼が進学するときに修了したので、入れ違いですね。といっても、専攻が違っていたので文学部の校舎では彼とは一度も会ったことがないのだけれども。
 ほんの数年の違いで、院生はワープロやパソコンを使うようになっていたんですね。
 そういえば、彼は仲間うちでは珍しいライダーだったなあ。だから一緒に飲むことが少なかったんだろうけど。

厚木さん、こちらこそコメントありがとうございます。
清原くんと入れ代わりで修了されたとのこと、私は外部から進学したので、厚木さんとはすれ違いだったようですね。でも、清原くんを通じて、こうしてお知り合いになれてうれしいです。
清原くんとは、結局、5年間を同級生として過ごしました。同じ講座ですべての授業や研究会が一緒。演習でしごかれたときなど内部から上がって事情がよくわかっている彼にはずいぶん助けられました。
修了し就職してからは、彼の方が多忙やらいろいろあったようで学会などにもあまり姿をみせず、数回しか会わなかったけど、厚木さんも書かれておられたように、いつでも会えるような気でいました。はかないものです。
でも、皆さんの記憶の中に生きているんですよね。時折思い出すのが、何よりの供養だと思っています。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49558/1343057

この記事へのトラックバック一覧です: 記憶:

« 親指シフト(ニコラ)・再び | トップページ | お弁当づくり »

twitter

2016年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

DVD

  • 春の雪
    :
    春の雪
  • 憂国
    :
    憂國
  • 炎上
    :
    炎上
  • 午後の曳航
    :
    午後の曳航
  • ラビリンス 魔王の迷宮
    :
    ラビリンス 魔王の迷宮 コレクターズ・エディション
  • きみはペット
    :
    きみはペット DVD-BOX
  • 野田版 研辰の討たれ
    :
    歌舞伎名作撰 野田版 研辰の討たれ
  • 阿修羅城の瞳 舞台版(2003)
    :
    阿修羅城の瞳 映画版(2005) & 舞台版(2003) ツインパック

CD

  • 曽根麻矢子 -

    曽根麻矢子: バッハ:ゴルトベルク変奏曲
    最近のお気に入りは、曽根麻矢子さん。「イギリス組曲」や「イタリア協奏曲」も素敵ですが、やはりこの1枚がおすすめ。丁寧な演奏と美しい音質にとても好感がもてます。

  • ヨーヨー・マ -

    ヨーヨー・マ: ヨーヨー・マ ベスト・コレクション
    「リベルタンゴ」やバッハの無伴奏も入っているので、ヨーヨー・マで一枚だけ、となると、やっぱりこれかな。。それぞれのアルバムで聴きたいところですけどね。

  • Yo-Yo Ma with The Amsterdam Baroque Orchestra & Ton Koopman -

    Yo-Yo Ma with The Amsterdam Baroque Orchestra & Ton Koopman: Vivaldi's Cello
    知性と穏やかさの感じられるヨーヨー・マの演奏。これは、よく聴くアルバム・ベスト3の一つです。

  • 春風亭小朝 -

    春風亭小朝: 小朝の夢高座Op.1「牡丹燈籠 ― 御札はがし」
    うまい! 何でこんなにうまいんだろう。落語家につける形容詞じゃないけど、スキのないうまさを堪能できる。もっとCDを出してくれることを切望。

  • のだめオーケストラLIVE!
    のだめオーケストラ・東京都交響楽:

    「のだめオーケストラ」LIVE!

    娘がピアノの練習を嫌がらずやるようになった、ありがたーいCD。2-2の2小節で間違えるバージョンがことのほかお気に入りの様子。クラッシックの入門編として。
  • Best of Bowie(US)
    David Bowie:

    Best of Bowie (Bonus CD)

    とりあえずデヴィッド・ボウイを聴きたい方へ。変遷を手際よくたどるのに好適!
  • Labyrinth
    Original Soundtrack:David Bowie:

    Labyrinth: From The Original Soundtrack Of The Jim Henson Film

    映画「ラビリンス」のサウンドトラック版。音楽的にもなかなかよい。バブバブ言っているのがボウイだと想像すると微笑ましい。
  • バッハ:ブランデンブルグ交響曲5番
    トレバー・ピノック/イングリッシュ・コンサート:

    Bach: Brandenburg Concertos Nos. 4-6; Triple Concerto BWV 1044

    硬質なカシャカシャとした音が、バロックにとても合っていて、気分が落ち着きまする。
  • Karajan Spectacular
    カラヤン:

    Karajan Spectacular

    そうは言っても、「ワルキューレの騎行」は、クナよりもカラヤンをとりたい。
  • ワーグナー:名演集
    クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィル:

    ワーグナー:名演集

    「すばらしい」の一言。夾雑物が何もなく、ワーグナーの音自体が見事に立ち上がってくる。